中国アリババ・グループの創始者で、昨年秋に金融当局を批判してから公の場に姿を見せていなかったジャック・マー(馬雲)氏が1月20日、オンラインで開かれたイベントのビデオメッセージに登場した。
マー氏の金融当局への批判後、アリババ傘下のフィンテック企業「アント・グループ」が上場延期となるなど中国当局は規制を強めていて、海外メディアは「行方不明説」を報じていた。
■内容は...
マー氏がビデオメッセージで登場したのは、自身の名を冠した「ジャック・マー農村教師賞」の式典。自身も英語教師だったマー氏が、農村で教鞭をとる教師たちを表彰するもので、2020年は新型コロナウイルスの影響でオンライン開催となっていた。
中国共産党機関紙・人民日報系の英語メディア「グローバルタイムス」が報じた動画はおよそ50秒。
マー氏は屋内とみられる場所で「今年は新型コロナウイルスの影響で三亜(式典会場の地名)に集まることはできませんでした。しかし私たちの約束は変わらず、教師たちへの尊敬の念を欠くこともありません。住む場所は違っても、オンラインで集うことができました」と中国語で挨拶した。
その後も受賞した教師たちへのメッセージを続け、「新型コロナが収束したらまたお会いしましょう」と締めくくった。確認できる限り、自身がおよそ3カ月にわたって公の場に姿を見せなかったことなどへの言及はなかった。
マー氏は2020年10月24日、上海で開かれた金融フォーラムで、中国の金融当局ついて「良いイノベーションは規制や監督を恐れない。しかし古い方式の監督を恐れる」「古いやり方で未来を管理することはできない」などと発言した。
その後、上海と香港で上場する予定だったアリババ傘下「アント・グループ」の上場が中止になった。「アント」はキャッシュレス決済の「アリペイ」のほか、個人向けの融資や保険などを手がけていて、370億ドル(約3兆8000億円)を調達する予定だった。また、12月には規制当局が独占禁止法違反の疑いでアリババを調査すると発表していた。
マー氏はその後、アフリカの起業家を発掘する企画「アフリカのビジネスヒーロー」の最終選考で審査員を務めるはずだったが、この予定をキャンセル。「行方不明説」を報じる海外メディアもあった。
中国メディア「AI財経社」によると、マー氏が公の場に姿を表すのは88日ぶり。