1年延期となった東京オリンピック・パラリンピックの開催に暗雲が立ち込めている。
河野太郎行革担当相は、ロイター通信(1月14日付)のインタビューで「どちらに転ぶかは分からない」と開催の不透明性に言及。ニューヨーク・タイムズも1月15日、開催中止の可能性があると報じている。
第2次世界大戦下以来のオリンピック中止となるのか。また開催される場合は、どんな形になるのか。
国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長やジョン・コーツ調整委員長らの発言の変遷から、その糸口を探ってみる。延期が決まった2020年3月24日以降の、IOC側の会見や各社インタビューでの発言を時系列で振り返る。
2020年
3月24日:オリンピック・パラリンピックの延期が決定
4月29日:コーツ調整委員長、大会の開催可否は、ワクチンの開発が条件にならないという見解
5月9日:コーツ調整委員長「再延期はない」
5月20日:バッハ会長、2021年の開催が不可能なら中止という見解
6月11日:IOC、オリンピック中止論は「単なる憶測」という公式見解
7月15、17日:バッハ会長「無観客は望んでいない」。観客削減も「一つのシナリオ」(IOC理事会後の発表、IOC総会後の記者会見)
7月20日:ディック・パウンドIOC委員「2021年開催が残された唯一のチャンス」
7月23日:バッハ会長「大会を希望と立ち直る力の象徴に」(開催まで1年のメッセージ)
7月29日:コーツ調整委員長「私の直感では、オリンピックは2021年に開催される」
9月7日:コーツ調整委員長「コロナウイルスがあろうとなかろうと、大会は7月23日に開催される」
9月9日:バッハ会長「約300日後、世界がどうなっているか分からない」(理事会後の記者会見)
9月22日:バッハ会長「ワクチンがなくても、大規模スポーツイベントを安全に開催できることが示された」(公式声明)
9月24日:バッハ会長「五輪、必ず成功させる」(調整委員会)
10月12日:バッハ会長「来年の夏に世界がいかなる状況に直面していようと安全な五輪を準備する」(選手団長会議)
11月16日:バッハ会長「来年に必ずや妥当な数の観客をスタジアムの中に入れることができると思っている」(来日時のプロジェクトレビュー)
2021年
1月1日:バッハ会長「忘れられない大会になる」(新年の声明)
1月7日:パウンドIOC委員「最大の課題はウイルス急増なので、(開催について)確信は持てない」
1月7日:IOCの談話「日本の対策に全幅の信頼を寄せている」
1月17日:ケバン・ゴスパーIOC名誉委員(元副会長)「五輪を開催するかどうか、国連に判断を求め、委ねるということもあり得るかもしれない」
1月18日:コーツ調整委員長「IOCと日本政府は新型コロナウイルスのパンデミック発生以来、 WHOのガイドに従っている」