新型コロナウイルスの影響で2020年、連続ドラマの放送スケジュールにも影響が出ました。
NHKの朝ドラ(後期)も例年より遅く始まり、「朝ドラ『おちょやん』、気がついたら始まっていて、見逃したままになっている…」という方もいるかもしれません。
11月30日に始まったおちょやんは12月25日に2020年の本編放送を終え、2021年の放送は1月4日からです。
「1月から見てみようかな」という方も、これまでの放送を見ていた方も、こちらの記事であらすじを(改めて)確認し、1月4日の放送に備えてみてください。
<この記事の内容>
- これまでのあらすじ
- ここまでの「おちょやん」名場面
- これからどうなる?
1.これまでのあらすじ
物語のモデルとなっているのは俳優・浪花千栄子さん(1907〜1973年)の人生。ドラマの主人公・竹井千代を演じるのは杉咲花さんです。
まず、2020年の放送内容を振り返ります。
舞台は大正時代の大阪。千代(杉咲さん/子ども時代を演じたのは毎田暖乃さん)は母を亡くし、酒を飲んでばかりの父テルヲ(トータス松本さん)と弟ヨシヲと暮らしていました。
家は貧しく、千代は小学校にも通えない中、父が突然連れてきた新しい母に疎ましがられてしまいます。家を出され、道頓堀にある芝居茶屋「岡安」で女中として働くことに。
その後、テルヲらは行方知れずとなり、千代は岡安に勤め続けることを幼いながらに決意し、女将・岡田シズ(篠原涼子さん)らの厳しくも愛のある指導を受けながら成長していきます。
仕事を通じ、俳優・高城百合子(井川遥さん)や、喜劇「天海一座」の後継者・天海一平(成田凌さん/子ども時代は中須翔真さん)らとの交流の機会を得ます。
ところが、18歳となった千代の前に、多額の借金を負ったテルヲが現れ、返済のために千代を別の店に奉公に出そうとします。借金取りが執拗な嫌がらせを岡安にしたことで、千代は父に従う覚悟を決めます。
岡安を出るその日、シズを中心とした岡安の面々が協力して千代を逃がすことに成功。手漕ぎ船に乗って道頓堀を後にする千代。夜の場面ながら、その表情や川面には明るい光がさしていました。このシーンで2020年の本編は終わりました。
2.ここまでの「おちょやん」名場面
涙もろい方ではない筆者ですが、12月の放送ですでに、朝から涙が出てくる場面がありました。
そこで、筆者が勝手に選んだ「おちょやん名場面(2020年)」を振り返ります。1月からの放送につながりそうなシーンもありますので、1月から見始める方の参考にもなれば幸いです。(ここに紹介する以外にも素敵なシーンがたくさんありました。全てを紹介できず、ファンのみなさま、すみません!)
▽おばあちゃんの手
千代は奉公に出る際、徒歩30分先に住む「お隣さん」の家に挨拶に行きます。
この家のおばあちゃん、かつては千代と弟ヨシヲの来訪時に迷惑そうな表情を見せていたこともありましたが、この日は気丈に振る舞う千代の手を黙ってとります。この女性の人生にもまた、多くの困難があったのでしょう。無言の激励がそこに見えました。
詳しい事情を知らないその家の少年が困惑しつつも何かを察し、千代を見送る姿も印象的でした。この少年はきっと、他者への想像力のある大人になるでしょう…。
▽カチューシャの唄
道頓堀で千代が魅了された俳優が百合子です。
その百合子ですが、所属会社に、舞台から映画にうつるように命じられ抵抗することになります。
結局、千代との交流を通じて新しい世界にうつることを決めた百合子。出発の日、別れのつらさを歌う「カチューシャの唄」(大正時代に実際に流行した曲です)を口ずさんでいると、道で足が止まってしまいます。そこにチンドン屋が現れ同じ曲を演奏し始めるのです。寂しげでありながら温かい演奏と歌声に背中を押されるように、百合子は再び歩き出すのです。
この曲に乗せて作品では、千代の弟への思い、シズとかつて恋仲だった歌舞伎役者・早川延四郎(片岡松十郎さん)の別れも重ねて描いていきます。音楽の力がすごいのです。
ところで、15分の短い枠でありながら、早川延四郎の舞台シーンをたっぷり見せるなど、「題材」への尊敬を欠かない作品の姿勢にも好感が持てます。
▽「面白シーン」
作中には、短い「面白シーン」がところどころ入り、笑わせてくれます。
筆者がみょうにツボに入ったのは、千代が百合子が演じた役を真似て、後輩たちにみせるシーン。空回りぎみの熱のこもった演技中に画面がぶちっと切り替わり、オープニングに入る編集には思わず笑ってしまいました。
主人公を「天賦の才能の持ち主」とは描かず、この先、熱意と努力で成長していく姿を見せていくことを予想させるシーンでもありました。
▽「もう一人になるの嫌や」
2020年の放送のハイライトはこのシーンと言っていいと思います。
千代が道頓堀を去る直前、喜劇「天海一座」の俳優が腰を痛めてしまい、一平に頼まれた千代は「女中役」で急遽舞台に出ることに。
舞台上で思いがけず「ずっとここにいてたい。岡安にいてたいんや。もう1人になるの嫌や。うちはどこにも行きとうない」と本音が出てきます。
その「迫真の演技」に観客は息を呑み、一平にも刺激を与えます。
▽「みつえちゃん」の涙
岡安には千代と同じ年の一人娘「みつえちゃん」(東野絢香さん/子ども時代は岸田結光さん)がいます。優しい父・宗助(名倉潤さん)に甘やかされているみつえですが、岡安の後継者であることに誇りを持っています。
千代を逃がす日、みつえは、使用人だった千代を友人として抱きしめた後、先を急がせます。そして、追手を止めるために両手を広げて「通せんぼ」をしたみつえ。恐怖でぎゅっと閉じた目からは一筋の涙が流れるのです。
その瞬間、道頓堀の仲間たちが加勢し、みつえは助かります。緊張の後にある安堵のシーン。ほっとすると人は笑顔になりますよね。うまいんです。
3.これからどうなる?
NHKが公開しているあらすじによると、道頓堀を出た千代は京都にたどり着き、「カフェー・キネマ」という店で、住み込みで働くことに。
映画好きの店長がいる店では、俳優を目指す女性たちが働いており、同僚の紹介で千代は、「山村千鳥一座」という劇団の試験を受け、合格。座長・山村千鳥(若村麻由美さん)のお世話役となる。
1月からの放送では、千代が俳優の道をあゆみ始める姿が描かれるようです。
(湊彬子 @minato_a1 ・ハフポスト日本版)