安倍元首相が謝罪「道義的責任を痛感」。議員辞職は否定。「桜を見る会」前夜祭の不正めぐり会見

安倍氏は24日の会見で、「今般の事態を招いた私の政治責任は極めて重いと自覚している」などと述べた。
安倍晋三氏(2020年12月4日撮影)
安倍晋三氏(2020年12月4日撮影)
時事通信社

「桜を見る会」前夜祭をめぐる問題不起訴処分となった安倍晋三前首相。12月24日午後6時から記者会見を開き、経緯について説明した。

安倍氏は、自身の公設第1秘書が、政治資金規正法違反の罪で略式起訴されたことを説明した上で、「こうした会計処理については、私が知らない中で行われていたこととはいえ、道義的責任を痛感しています。深く深く反省するとともに国民の皆さまにお詫び申し上げます」と謝罪した。

これまでの自身の国会答弁については、「当時の私の知る限り、認識の限りの答弁をさせていただいたつもりでした。しかし結果として、これらの答弁の中には事実に反するものがございました」とした。

その上で、「国民の皆さまの政治への信頼を損なうこととなってしまった。このような事態を招いてしまったことに対し、当時の行政府の長として、また政治資金については率先して襟を正さないといけない自民党の総裁として、そして何より国民を代表する一国会議員として、国民の皆さまに、そして与野党すべての国会議員の皆さまに対し、深く深くお詫び申し上げたいと思います」と頭を下げた。

安倍氏は、在任中の国会答弁を訂正する意向を示した。25日の衆参両院の議院運営委員会に出席する見通しだ。

安倍氏は「今般の事態を招いた私の政治責任は極めて重いと自覚している」とし、「まずは私自身の政治活動、講演会、事務所における資金の透明性の確保をし、国民の皆さまから一点の疑問も生じることのないよう、私自身が責任をもって徹底してまいる考えである」と述べた。

自身の議員辞職については、記者の質問に答える形で否定した。

これまでの経緯は?

「桜を見る会」とは、国の予算を使って首相が主催する花見行事で例年4月に開催されてきた(菅義偉首相は、2021年以降は中止すると表明している)。

今回問題になっている「桜を見る会」の前夜祭は、2013年から「安倍晋三後援会」が主催し、東京都内のホテルで開いていた。

NHKによると、ホテルに支払った費用総額の一部を、安倍氏側が補塡していたとみられるが、補填額の大半は、政治資金収支報告書に記載されていなかった。

安倍氏周辺は補填を否定していたが、毎日新聞によると、11月24日、一転して不足分の補填を認めた。だが、領収書は見つかっておらず、廃棄された可能性が報じられている

時事通信によると、東京地検特捜部は、安倍氏の公設第1秘書が後援会の収支報告書に懇親会の収支を記載しなかったとして、政治資金規正法違反の疑いで捜査を進めていた。

その一環として、安倍氏側に、安倍前首相本人の任意での事情聴取を要請。安倍氏は12月22日までに任意聴取に応じていた。 

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