医療的ケア児と家族が暮らしやすい社会を目指して活動するメディア「アンリーシュ」が2020年に作文コンテスト(ハフポスト日本版も協力)を開催。審査の結果、12月18日に受賞作品が決定しました。
一般部門のグランプリ作品を紹介します。
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「中学一年生のみいちゃん」 作者:溝口 結香さん
私は、ごく普通の中学三年生です。これから書く作文は私が、私の大切なお友達の「みいちゃん」から教えてもらったことです。
私は、昨年の夏休みにお友達が一人増えました。名前は心咲ちゃん。「みさき」と言う名前から私はみいちゃんと呼んでいました。
みいちゃんとの出会いは昨年の夏休み、私が五日間、障害者施設のボランティアに行ったときのことでした。みいちゃんはその障害者施設の利用者です。私が行った施設は主に十八歳〜六十代の方が利用していますが、小学生〜高校生までの方が、学校が終わってから利用できるグループもあります。みいちゃんは、そのグループを利用する、当時中学一年生だった女の子です。
私は、みいちゃんに会うまでは知的障害児に対して少し警戒していました。なぜなら知的障害を持っている子はみんな、急に叫んだり騒ぎ出すと思っていたからです。でもそれは私のただの偏見でしかない。とみいちゃんに会って気づきました。たしかに騒いだり、叫んだりすることもあります。でもそれは何の意味もなくやっていることではなく、自分の意思を伝えようとしていることだと私は実感しました。例えば何かをやってもらいたいときや、不安なとき、私達は言葉で誰かに助けを求めることができます。しかし知能に障害がある方は言葉で助けを求めることは、そう簡単にできることではありません。そのため叫んだりパニックを起こすことがあるのだとわかりました。
私はこのことを知って障害者と私の違いってなんだろう?と考えました。障害者は身体のどこかに何らかのペナルティがある人のこと。ならば私だって目が悪くメガネをかけているし恐怖症だってあります。私の友達には過呼吸や喘息を持っている友達がたくさんいます。「皆どこかに必ずペナルティ持っているのに、皆必ず障害を持っているのに、どうして差別が生まれるのだろう?」と私はいつも思います。みいちゃんは知的障害を持っていますが、知的障害のみいちゃんではない。中学一年生のみいちゃんなんだ。と私は考えます。
今の私の夢は、看護資格を持った警察官になることです。いざという時、障害を持っている方を色々な面で助けられる警察官になりたいです。そのために今、様々な事に挑戦し日々勉強しています。昨年の夏のボランティアは夢をかなえるための第一歩になったと私は考えます。
これからも障害を持った方々を一人の人間として、寄り添えるボランティアを続けたいです。
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作文コンテストは、医療的ケア児とその家族の思いをもっと知ってもらうことを目的に実施され、当事者部門・一般部門の合計で85通の応募がありました。
当事者部門の大賞はこまつざきくんの「おふくろへ」でした。
全ての作品はアンリーシュ作文コンテスト特設サイトから読むことができます。