去る2020年12月1日、日本を代表する優秀なPR活動を表彰する「PRアワードグランプリ 2020」が発表され、味の素冷凍食品の「冷凍餃子#手間抜き論争」がシルバーを受賞した。
ことの始まりは1つのツイートだった。
夕ご飯に冷凍餃子を出したところ、子どもは喜んだものの、パートナーに「手抜き」と言われたと嘆く内容になっている。
それに対し、冷凍餃子をはじめ、さまざまな冷凍食品を作っている味の素冷凍食品の広報
「冷凍餃子を使うことは「手抜き」ではなく「手“間”抜き」ですよ!」という一連の投稿に44万いいね!が付き、冷凍餃子手間抜き論争がツイッター上で繰り広げられることになったのである。
「冷凍餃子を使うことは「手抜き」ではなく「手“間”抜き」ですよ!」とツイートした、いわゆる“中の人”に、「手“間”抜き」と投稿した真意などを聞いた。
「私自身、2児の母で冷凍食品はよく利用しますが、手抜きと手間抜きでは大きく異なります。手抜きはネガティブなイメージがつきまといますよね。必要なことを様々な理由で省くこと、しないこと。でも手間抜きは、必要のない工程などを省略することで、効率化をはかるポジティブな印象があるのかなと思います。手間を抜いたことでてきた気持ちの余裕や時間で、家族とのコミュニケーションの時間に使うなどメリットはたくさんあります」と中の人は語る。
例えば冷凍の野菜は旬のおいしさを冷凍することで栄養価をほとんど損なうことなく、いつでも食べることができる。栄養やおいしさをそのまま保った冷凍食材を食べることは、時間の短縮になるだけでなく、家族にとって大きなメリットになるのではないだろうか。フードロス問題の解決にも繋がっていく。
料理が苦手な人は、冷凍食品を上手に活用することで心の負担になっている「料理」が楽になり、別の得意なこと、好きなことに時間を費やすことができるので、日々の楽しみもアップするだろう。
時に料理をする人自身が、冷凍食品を使うことに「手を抜いているのではないか」と罪悪感を抱くこともある。
「冷凍食品というと“チンするだけ”といった簡単で、便利で、時短になってという手をかけないからこその罪悪感を生活者の皆さんが感じてらっしゃるなというのは思っていました。利便性だけが切り取られて語られることを変えていきたいという思いがあって、後ろめたさではなく、冷凍食品のいいところを見て、前向きな気持ちで使って欲しいという取り組みをしています」(中の人)。
そしてその後、味の素冷凍食品では「冷凍食品は手抜きではない」という空気を作るため。動画を制作。
家庭で食事を作る人に代わって、従業員が手間と愛情を込めて作っている」というメッセージを込めて「手間の可視化」を行った。それが、この動画だ。
実は、味の素冷凍食品の冷凍餃子には144もの工程があり、同社の従業員が工場で、愛情を込めて作っているというのがわかる。
日本ではまだまだ根強く残る、「手作り」神話。
「それが家族の誰かの負担になっているのでは本末転倒ではないでしょうか。家事の料理をみんなで分担しようという昨今の潮流のなかで、味の素冷凍食品もその分担の役割を担っていると思ってもらえたら」と中の人は語った。
(取材・文:榊原すずみ/ハフポスト日本版)