12月20日(日)午後6時34分から、漫才日本一を決める「M-1グランプリ2020」(ABCテレビ・テレビ朝日系)の決勝が生放送される。
前大会ではミルクボーイが劇的な優勝を果たし、大きな話題になったM-1グランプリ。開催16回目となる今年は、過去最多となる5081組がエントリーした。
決勝戦に出場するのは、アキナ、マヂカルラブリー、見取り図、錦鯉、ニューヨーク、おいでやすこが、オズワルド、東京ホテイソン、ウエストランドの9組。
さらに、敗者復活戦に進んだ以下16組から、視聴者投票で選ばれたコンビが参加する。
キュウ、ダイタク、カベポスター、ロングコートダディ、コウテイ、ニッポンの社長、タイムキーパー、ゆにばーす、滝音、学天即、からし蓮根、ランジャタイ、インディアンス、祇園、金属バット、ぺこぱ
【UPDATE 2020/12/22 19:20】敗者復活戦では、インディアンスが選ばれた。
決勝進出者9組のプロフィールや魅力をたっぷり解説する。(執筆、写真:生田綾)
「M-1グランプリ2020」決勝進出者9組は?
9組のうち、決勝初出場となるのは4組。個性豊かなファイナリストたちを紹介する。(すべて敬称略)
アキナ
吉本興業所属のアキナ。吉本興業の養成所「大阪NSC」出身の山名文和(左)、秋山賢太が2012年に結成した。2016年のM-1グランプリで決勝進出を果たし、ファイナルに進むのは4年ぶり2度目。
関西を中心に活躍中で、2015年に「NHK上方漫才コンテスト」優勝、2017年には「NHK新人お笑い大賞」で大賞を受賞した。漫才・コントで2冠を初めて達成し、確かな実力を持つコンビだ。
日常生活を切り取った設定の中で、個性的なキャラクターの山名がボケるようなネタが持ち味。
マヂカルラブリー
野田クリスタル(左)、村上によって2007年に結成された吉本興業所属のマヂカルラブリー。決勝進出は2017年以来2度目となる。
2017年大会では、審査員の上沼恵美子から「一生懸命やってるのはわかるけど、好みじゃない」と酷評されたことが話題になり、悲願の「リベンジ」を誓っている。
独創的なシュールなネタが特徴的で、野田クリスタルは3月に開催された“ひとり芸日本一”を決める『R-1ぐらんぷり2020』で自ら制作したオリジナルゲームを使ったネタを披露。栄えある優勝を果たした。
見取り図
盛山晋太郎(左)、リリーが2007年に結成した吉本興業所属の見取り図は、3年連続で決勝進出を果たした「M-1常連組」。
大阪のよしもと漫才劇場を拠点としており、アキナと並んでお笑いの本場・大阪の予選から勝ち進んだ実力派のファイナリストだ。
2020年3月にはYouTubeチャンネルを本格始動させ、「2020年内に100本公開」を目標に精力的に動画を投稿している。12月中旬までに100本中90本に到達。 ビールやハイボール、わさびなどを比べる「利きシリーズ」などが人気で、登録者数10万人を超えるチャンネルに成長した。
錦鯉
初の決勝進出を果たした錦鯉。結成15年以内の芸人が出場するM-1グランプリだが、錦鯉は「史上最年長コンビ」として注目を集めている。
ボケ担当の長谷川雅紀(左)は49歳、ツッコミの渡辺隆は42歳と40代コンビの2人。芸歴はともに20年を超える。フリー芸人やコンビ活動などを経て、2012年に結成された。
年齢を感じさせない、長谷川のパワフルなボケは見た人に強烈な印象を与えるはずだ。バイきんぐやアキラ100%などを擁するソニーミュージックアーティスツ所属で、“遅咲き”の芸人として王座を狙う。
ニューヨーク
嶋佐和也(左)、屋敷裕政が2010年に結成したニューヨーク。2019年の前大会から2年連続で決勝に進んだ。吉本興業所属。
シニカルなネタが特徴で、2020年の「キングオブコント」では準優勝を果たした注目コンビだ。
幅広い活躍の中、定評を得ているのがYouTubeでの発信だ。今やお笑い芸人にとっても激戦区となったYouTubeだが、ニューヨークは2019年1月にチャンネルを開設。充実したコンテンツが好評を得ている。
11月には、東京NSC17期生の間で結成された謎のグループを追う2時間超のドキュメンタリー「ザ・エレクトリカルパレーズ」を公開。芸人やお笑いファンから大きな反響を集めている。
おいでやすこが
2019年に結成されたおいでやすこが。こがけん(左)、おいでやす小田からなるコンビだが、特筆すべきは、それぞれが普段はピン芸人として活動しているという点だ。
ともにピン芸人の賞レース「R-1ぐらんぷり」の決勝に進んだことがある実力派だが、11月に発表された新ルールにより、2人は突如出願資格を失った。2021年に開催される大会から「芸歴10年以内」のルールが設けられることになったためだ。
その悔しさをバネにするかのように、「おいでやすこが」として挑んだM-1グランプリの舞台で活躍。ピン芸人同士のコンビとして初の決勝進出を果たし、大きな注目を集めている。所属は吉本興業。
オズワルド
吉本興業所属の畠中悠(左)、伊藤俊介が2014年に結成したオズワルド。前年から2年連続のファイナリストとなった。
スローテンポで独特な漫才が特徴的で、芸風を「東京漫才」と自称している。前大会では、ミルクボーイが「コーンフレーク」ネタを披露し、M-1史上最高得点を出した直後に登場した。厳しい状況の中でしっかりと笑いをとっていたが、2人は会場の空気を変えるため、「ちょっとイラッとされるくらいゆっくり歩いた」と振り返っている。
ツッコミ担当の伊藤は、人気俳優として活動する伊藤沙莉が妹で、YouTubeなどではたびたび共演している。
東京ホテイソン
たける(左)、ショーゴによって2015年に結成された東京ホテイソン。サンドウィッチマンなどを擁するグレープカンパニー所属で、今大会で初の決勝進出となる。
ともに20代の若手芸人で、『お笑い第7世代』と同世代。M-1グランプリでは2017年から毎年準決勝まで勝ち進んでいるものの敗者復活戦での敗退が続き、4度目でついに念願の決勝入りを果たした。テレビのネタ番組での露出も増えており、じわじわと注目が集まっているコンビだ。
歌舞伎を連想させるような、たけるの強烈なツッコミが特徴的だ。
ウエストランド
2008年に結成された、井口浩之(左)、河本太からなるウエストランド。爆笑問題が所属するタイタンから、悲願となる初のM-1決勝進出を果たした。
2013年に「笑っていいとも!」(フジテレビ系)のレギュラーの座につくも、わずか1年で番組が終了。その後は地下ライブやラジオなどで着々と実力を積み、根強い人気を誇るコンビだ。ネット配信も先駆的に取り組んでおり、PodcastやYouTubeで配信する番組「ウエストランドのぶちラジ!」は10周年を超えている。
ツッコミ担当の井口が繰り広げるマシンガントークにぜひ注目してほしい。
審査員と、「M-1グランプリ」過去の王者は?
審査員を務めるのは、オール巨人、上沼恵美子、立川志らく、サンドウィッチマンの富澤たけし、中川家の礼二、ナイツの塙宣之、ダウンタウンの松本人志の7人。2019年と同じ顔ぶれだ。
新型コロナウイルス禍に見舞われた2020年は、予選1回戦は無観客で行われ、3回戦は実施しないなどの対策をとって開催された。
ライブ公演の自粛を余儀なくされ、多くのお笑い芸人にとっても厳しい1年となったが、YouTubeやZoomなど、ネット配信を使って発信をつづけるなどの前向きな動きもあった。
2020年を締めくくる漫才頂上決戦で勝利をおさめるのはどのコンビなのか、結末を見守りたい。
「M-1グランプリ」の歴代王者は以下の通り。
第1回(2001年) 中川家
第2回(2002年) ますだおかだ
第3回(2003年) フットボールアワー
第4回(2004年) アンタッチャブル
第5回(2005年) ブラックマヨネーズ
第6回(2006年) チュートリアル
第7回(2007年) サンドウィッチマン
第8回(2008年) NON STYLE
第9回(2009年) パンクブーブー
第10回(2010年) 笑い飯
第11回(2015年) トレンディエンジェル
第12回(2016年) 銀シャリ
第13回(2017年) とろサーモン
第14回(2018年) 霜降り明星
第15回(2019年) ミルクボーイ