東京で夫婦と子ども2人の4人家族で「普通の生活」をするには、30代で月額約54万円、40代で月額約62万円、50代で月額約80万円が必要ーー。
東京都内にある産業別労働組合などが加盟する連合組織、東京地方労働組合評議会(東京地評)と東京春闘共闘会議がこうした試算を発表した。
2019年6〜9月、東京地評に加盟する労組の労働者など3200人に生活実態調査や持ち物に関する調査を実施。今回はうち739の子育て中のケースから分析した。家電や生活必需品の都内での価格を調査、教育費などは国の調査を参考にして積み上げるなどして算定している。(調査全文はこちら)
夫婦が30代のモデルケースは次の通り。
夫(正社員)と妻(非正規社員、夫の扶養内)、公立小学校と私立幼稚園に通う子供2人がいる4人家族
練馬区にある43㎡前後の賃貸マンションまたはアパートに住み、家賃は95,000円
1か月の食費は約11万円(1人1食300円と想定、飲み会費用は3500円で月1回のみ)
家族みんなで行楽地に出かけるのは月に1回(1回の費用は8,000円)
教育費は1か月あたり約28,000円
このモデルケースで必要な額を積み上げると必要なのは月約54万円で、年額にすると約650万円となる。(いずれも税・社会保険料込み)
東京地評の担当者は「年代の平均より少し下回る程度で計算している。それでもこれだけのお金がかかるんです」 と話す。
また、子どもが成長するにつれて教育費が上がり、50代で第一子が私立大学に通うようになると月の教育費が約13万円に膨らむ。
40代で必要なのは月に約62万円(年約740万円)、50代だと約80万円(年約960万円)と試算されている。
報告では「家族を形成するにはお金がかかり、いまや若年世代にとって家族を持つことはステイタスになってしまっていることが調査結果を通じて明らかになっている」と結論づけた。
さらに、コロナ禍を経て「非正規労働者はきわめて厳しい状況に追い込まれている」とし、「働き方に関係なく、すべての労働者が8時間働けば普通に暮らせるようになるためには、生計費原則にもとづき賃金を底上げすることが最重要」と訴えている。