冷静沈着で知られるドイツのメルケル首相が感情を露わにして、国民に新型コロナへの警戒を呼びかけた。
ドイツでの新型コロナによる死者数は12月9日、過去最多の1日590人に上った。これを受けてメルケル首相は同日、連邦議会で演説をして「クリスマス前に多くの人と接触することで、祖父母と過ごす“最後“のクリスマスになってはならない」などと強く訴えたのだ。
「心の底から申し訳ない。けれど到底容認できません」
ガーディアンによると、死者590人という数字について、メルケル首相は「あってはならない」とし、より厳格なコロナ対策を行う必要があると主張。
高齢者や持病をもつ人を訪ねる場合は、事前の最低1週間は、他者との接触を控えるよう求めた。
「クリスマス前に多くの人と接触し、その結果、祖父母と過ごす最後のクリスマスになってしまうようなことはあってはなりません」
つねに冷静な対応で知られるというメルケル首相が感情を露わにして訴えたことを、現地メディアは驚きをもって報じている。
DW NewsがTwitterに投稿した動画からは、メルケル首相が両手をあわせ懇願し、拳を握り強い口調で演説している様子がわかる。
メルケル首相は、クリスマスまでの期間、ホットワインやワッフルを屋外で楽しむ習慣に理解を示しながらも、「心の底から申し訳なく思います。けれど、私たちが払う代償が、1日590人もの命だとしたら、それは到底容認できません」と訴えた。
ドイツでのコロナ対策は?
CNNによると、ドイツでは11月からレストランやバーなどの飲食店の営業を中止していたが、学校や小売店などは閉鎖されていない。
しかし死者数の増加を受けメルケル首相は、科学者の提言に基づき、より厳しい措置が必要になるとの考えを示した。また、クリスマス後の数日間、場合によっては2週間、都市をロックダウンする必要があるとの考えも明かしている。