厚生労働省は12月10日、新型コロナウイルスのワクチンについて、日本での接種体制などについてまとめた案を部会に示し、了承された。
公表された案によると、「接種券(クーポン券)」を受け取り予約のうえ、原則的に住民票のある地域で受ける。受け方やワクチン確保の状況についてまとめた。
■日本でのワクチン接種方法
ワクチンは国の指示のもと、希望すれば各市町村で接種を受けられる。原則的に居住地(住民票のある地域)で受けることになる。医療機関、もしくは市町村が設ける会場(保健センターや体育館などを想定)のどちらでも可能だ。
ワクチンを受けるには、事前に市町村から送られてくる接種券が必要だ。接種券をもとに予約を行い、当日も会場に持参する必要がある。なお、医療従事者の場合は接種券を使用せずに受けられる。
また、やむを得ない事情がある場合は、居住地以外でもワクチン接種を受けられる。国が示しているのは以下のような例だ。
場合によっては、現在住んでいる市町村に自分で申請をする必要があるので注意が必要。厚労省の担当者によると、具体的な申請方法はこれから検討するという。
市町村への申請が必要
出産のために里帰りしている妊産婦
遠隔地へ下宿している学生
単身赴任者 等
市町村への申請は不要
入院・入所者
基礎疾患を持つ者が主治医の下で接種する場合
災害による被害にあった者
拘留又は留置されている者、受刑者 等
ワクチンの接種を受けたら、「接種済証」が交付される。接種を受けた人の手元に残るもので、接種を受けた日時や場所、それにワクチンのメーカーやロット番号まで記録されている。
■ちゃんと全員が受けられるの?
ワクチンの接種については、供給が順次行われることや、死亡・重症者をできるだけ減らす観点から、接種の順位づけについて検討が進められている。
11月9日に実施された厚労省の部会資料によると、現時点では、新型コロナウイルスの患者に応対する医療従事者や高齢者、それに基礎疾患を持つ人などが上位に位置づけられるとしている。さらに高齢者施設などで働く人や妊婦などについても検討が進んでいる。
国はこれまでに合計2億9000万回分のワクチンの供給について合意を得ている。仮に2回接種が必要な場合、1億4500万人分の計算だ。
内訳は以下の通り。
モデルナ(アメリカ)・・・5000万回
日本での流通・販売は武田薬品工業が担う。10月29日に契約締結。2021年上半期に4000万回分、下半期に1000万回分の供給を受けることになっている。
ファイザー(アメリカ)・・・1億2000万回
来年6月末までに6000万人分(1億2000万回)の供給を受ける。7月31日に基本合意。最終契約に向けて協議が進んでいる。
アストラゼネカ(イギリス)・・・1億2000万回
2021年初頭から1億2000万回分の供給を受ける。このうち3000万回分は第一四半期になる予定。8月7日に基本合意に達し、こちらも最終契約に向け協議中。
さらに国では、ワクチンを保管するための冷凍装置を約1万台確保。人口に応じて各自体に振り分ける予定だ。必要に応じて、ドライアイスを国が一括で調達することも検討する。
■費用は?健康被害が出たらどうする?
接種にかかる費用は国が負担する。
健康被害が出た場合は、予防接種法における「定期接種」と同様の扱いとなる。市町村に被害が出た旨を申請し、国によってワクチンとの因果関係が認定されれば医療費などが給付される。
また、ワクチンの使用による健康被害が起き、製造・販売業社が賠償した場合に、国が業者の損失を補填する契約も結べることとする。
■いつから受けられる?
厚労省はハフポスト日本版の取材に「安全性・有効性を最優先とするため、予断を許さない」と回答している。共同通信は「早ければ来年3月に始まる可能性がある」としている。
■ワクチンを受けたくない場合は?
希望しない場合は、ワクチン接種を受けなくても良い。