岸信夫・防衛相は12月9日、自民党の部会で敵の射程外から攻撃できる「スタンドオフ能力」を持つ長射程ミサイルを今後5年かけて開発する意向を表明した。日経新聞によると2021年度予算案に335億円を計上する。
加藤勝信・官房長官は記者会見で「敵基地攻撃能力を目的としたものではない」としたが、一方で米ウォール・ストリート・ジャーナルは「北朝鮮が日本を攻撃しようとするケースを想定している」と指摘する。
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岸防衛相は9日、自民党の国防部会・安全保障調査会合同会議で、来年度から5年間をかけて長射程の巡航ミサイルを開発する意向を明らかにした。毎日新聞によると、国産で開発中の「12式地対艦誘導弾」を改良し、射程を伸ばす。
これにより、相手の射程外から攻撃できる「スタンドオフ能力」を持つ事になる。
この計画を巡っては、政府が保有を明言していない「敵基地攻撃能力」に転用可能だとする懸念もある。加藤官房長官は9日の定例記者会見で「自衛隊員の安全を確保しつつ、相手の脅威圏の外から対処を行うため」と説明。「いわゆる敵基地攻撃を目的としたものではない」とした。朝日新聞によると、政府は菅政権としてのミサイル阻止に関する方針を来週中にも閣議決定する方針。ここでも敵基地攻撃能力の保有は明記しない方針だという。
一方で、米ウォール・ストリート・ジャーナルは9日、「日本が北朝鮮に届くミサイルの開発を検討」とする記事を掲載。複数の与党議員が「攻撃される前に、日本が敵基地を攻撃する意思を明確にしたがっている」とし、「彼らは、北朝鮮が日本を攻撃しようとしているのを事前に察知できたケースを想定している」と伝えた。