性暴力被害者の「大丈夫」は性的同意ではないとの判決 韓国の最高裁

酒に酔った状態の被害者に対する性暴力を認定。「被害者らしさ」を求める判決は破棄される傾向にある。
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Witthaya Prasongsin via Getty Images

韓国の大法院(日本の最高裁判所に相当)は、酒に酔った状態で性暴行を受けた被害者が「大丈夫」と言った場合でも、「性的同意」と捉えて性関係を持つのは暴力にあたると判断した。

大法院2部(主審パク・サンオク大法官)で12月6日に行われた、児童・青少年保護法違反(準強姦)の罪で起訴された男の上告審でのこと。

中央日報によると、これまで事件を審理してきた普通軍事法院と高等軍事法院では、男に無罪が言い渡されていた。しかし、今回、大法院が下した判決により、事件は高等軍事法院に差し戻されることとなった。

事件の顛末はこうだ。

中央日報によると、陸軍下士だった男は2014年、知人2人や女子高校生(当時)と一緒に家で酒を飲んだ。はじめにその知人が、酒に酔っていた女子高生にトイレで性暴行をした。男は、知人がトイレから出てくると、続いてトイレに入った。男は、酒に酔って全裸でトイレに座っていた女子高校生に「大丈夫か」と聞いたあと、性暴行した。女子高校生は、すでに一度、性暴行をされた状態だった。

女子高校生は事件後、男からSNSでの友達申請がきた際に、性暴行された事実を思い出し、うつ病となり、相談を経て男に謝罪を要求。しかし男はこれを拒絶し、女子高校生は男を告訴した。

男の側は、「性関係」後に、女子高校生が何度も「大丈夫」と言ったとし、また、家に連れて行った際にも家の前でキスをしたという事実などを根拠に「自発的性関係」だったことを主張した。

高等軍事法院は、女子高校生が大部分の状況をよく記憶していながらも、性関係がどのように始まったのか記憶していないのは矛盾しているとし、男側の主張をほぼ認定した。

しかし、大法院は「女子高校生が性関係後に『大丈夫』と言ったとしても、性関係に同意したと断定することはできない」とその判決を覆した。

検察の捜査では、女子高校生の「性暴行の被害者になるのが怖くて、被害の事実を無視するためにそのように言ったようだ」との陳述から、事件当日の「大丈夫」という言及は形式的発言にすぎないと判断した。

また、大法院は「全裸でいた被害者を救助することもなく、性行為への同意を求めたということ自体が矛盾しており、経験則上、異例だ」とし、下級審の判断は誤りであると指摘した。

在京地方のある判事はこの日、中央日報に「最近大法院の判決をみると、性犯罪被害者に『被害者らしさ』と要求した判決は、すべて破棄されている傾向にある」としている。

この記事は、ハフポスト韓国版を翻訳・編集しました。

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