よもやよもや、我が家が『鬼滅の刃』にここまで侵食されることになるとは思ってもみなかった…。
新型コロナウイルスの感染拡大による休校期間中、子どもたちがNetflixデビューで『鬼滅の刃』にハマって、はや9カ月。
気がつけば、我が家も鬼滅キャラクターの折り紙やグッズが増え、本棚にはコミックが全巻揃った。日々、風呂場からは『紅蓮華』や『炎』の熱唱が聞こえてくる。
進化していく「〇〇の呼吸」
どこものちびっ子も同じかもしれないが、登場人物のセリフを日常生活の中で応用している子どもたちには脱帽だ。
小学生の長男は「俺は、俺の責務を全うする!!」と、煉獄さんを真似て宣言してから宿題に取りかかる。サッカーの試合前には「頑張れ!俺は今までよくやってきた!」「俺が挫けることは絶対にない!」と芝居がかった独り言。
保育園最後の1年をどっぷり鬼滅に捧げた次男は、「よもやよもやだ。柱として不甲斐なし!穴があったら入りたい!!」がお気に入りだ。
意味は分かってるの? 聞いてみると、「昇り炎天(煉獄さんの技の名称)の穴の中に入りたいってことだと思ったんだけど、入ってなかったから違うのかな」
ちなみに、ちびっ子たちがそれぞれのお気に入りの呼吸で戦うのは日常茶飯事。「水の呼吸」「炎の呼吸」と技を繰り出しあっていくうち、呼吸は独自の進化を遂げていく。「ウンコの呼吸」「おならの呼吸」「〇〇(子どもたちの名前)の呼吸」…。見ているこちらは思わず「アホの呼吸!」と同レベルのツッコミを入れてしまう。
映像化はされていないが、胡蝶しのぶの笑顔の名セリフ(?)「とっととくたばれ糞野郎」も一大ブームだった。
『鬼滅の刃』のセリフを利用してしまうのは、もちろん子どもだけではない。
私自身も“ながら”で食事や勉強している息子たちに「全集中!」「全集中の常中!」と言ってしまうし、夫はホタテが苦手な長男に「これは貝の柱だぞ!」と教えていた。
未就学児を教えるサッカーのコーチは、シュート練習の前に子どもたちに「型!」と声をかける。ちびっ子たちはボールを前にそれぞれの技の型をイメージしたポーズを決め、ホイッスルに合わせてシュートを打つのだ(カワイイ)。
大人も子どもも、日常生活の中でこんなにアニメのセリフをアレンジして使ったことってあっただろうか?
筆者が小学生の頃には、ドラゴンボールが流行っていたけど、ネットやSNSが発達したぶん、現代の方が盛り上がり方が大きく可視化されている気がする。
なんといっても国会答弁にまで使われてしまうのだから、その影響力たるや凄まじいものがある。
47都道府県を覚えるのに苦労している小学生が、絶対にそれよりも難しい柱9人の名前と技を覚えられたり、平仮名を覚え始めたばかりの保育園児がコミックを真剣に読んだり…。
ベネッセのアンケートでは、小学生の「憧れの人物ランキング」トップ10のうち7人を『鬼滅の刃』の登場人物が占めた。ちなみにこのアンケート、小学生が選ぶ今年の漢字の1位は「笑」、2位は「幸」だったそうだ。
不安なニュースが続く中、日本中を席巻した『鬼滅の刃』ブーム。
きっと日本中にクスリと笑えるちびっ子たちの鬼滅エピソードが転がっているのだろう。
(中村かさね・ハフポスト日本版)