新型コロナウイルス感染症の大規模なクラスターが発生した永寿総合病院(東京都台東区)。
職員に手当てを渡そうと、同病院で勤務経験のある医師らが立ち上げたクラウドファンディングに、目標金額の2000万円を2倍以上上回る、およそ4900万円の寄附が7月末までに集まった。
同病院は11月23日、永寿総合病院の看護師や医師を含めた全職員に手当てとして、一律5万円を支給したことを発表し、支援者に感謝を伝えた。
発表によると、支援金は9月に納入され、10月の給与に反映された。
院長の愛甲聡氏は、急速に伸びていく支援金の金額は「日本中の皆様の温かい応援や励ましの言葉にしか見えませんでした」と、支援者に向け感謝の意を示した。
現在、新型コロナの新規感染者数が増加している状況をふまえ、「出口の見えない新型コロナの流行下での医療に閉塞感を抱き、職務の続行に迷いを訴える職員」もいたとし、「皆様のお気持ちが絶好のタイミングで力を与えてくれた」とコメント。何人かの職員は、支援金をそのまま病院への寄付に回したという。
クラウドファンディングのページによると、6月29日から7月31日までおよそ1カ月の間に、寄附者は4639人集まった。
同病院の担当者によると、職員はおよそ800人。支援金4900万円は、職員への支給のほか、不足している人件費や感染症対策費として使用される。
23日にTwitterで発表すると、「職員の皆様、本当にお疲れさまです」「きっとまだ大変なんだよなあ…頑張ってください」など、感謝や励ましのコメントが相次いでいる。
一方で、「素晴らしい取組。だけど、寄付という形以外にも、政府がもっと医療機関を支援すべきなのではないか」という指摘も多くあがっている。
大幅な赤字で、満額の給与受けとれず。
永寿総合病院では3月に入院患者2人の新型コロナ感染が判明した。
その後急速に感染が広まり、患者と職員ら計214人が感染、入院患者43人が死亡した。
クラウドファンディングを呼び掛けた「永寿総合病院を応援する会」によると、同病院の収入は半減し大幅な赤字になった。運営費用を抑えるために出勤調整が行われ、満額の給与を受け取れない看護師などの職員もいたという。
病院は公的な支援を受けていたものの、厳しい状況が続いていた。
同病院の湯浅祐二院長は7月1日に記者会見を行った。朝日新聞デジタルによると、感染拡大した理由を「他の病院に比べて新型コロナへの対処が甘い状況があった」などと説明し謝罪。
看護師や医師計3人の手記も公開され、医療現場の過酷な状況をつづっていた。