東京都は11月16日、墨田区内の保育園で提供された給食で食中毒が発生したと発表した。
患者全員が食べていた「きつねうどん」が原因食品で、ヒスタミンが原因物質だとしている。魚類やその加工品を食べることにより発症する「ヒスタミン食中毒」が起きたと考えられる。
この発表について、「だしパックの煮すぎが原因? 保育園の給食で食中毒 東京」とのタイトルで産経新聞が報じた。
家庭でも身近な「だしパック」の使い方に関わる報道内容が、ネットで話題となっている。
調理現場で一体何があったのか。東京都に確認した。
だしパックからヒスタミン5mg/100g未満検出。その意味とは?
東京都の食品監視課によると、今回の保育園での食中毒は11月11日に発生し、1〜6歳の男女28人に発疹の症状が出た。
全員が食べていた「きつねうどん」でヒスタミンの検査を行ったところ、きつねうどん全体からは8mg/100g、同料理に入れたきざみ揚げからは20mg/100gが検出された。
汁及びきざみ揚げを煮るのに使用したのと同じ「だしパック」(未使用品)からは5mg/100g未満が検出された。
内閣府食品安全委員会によると、過去の食中毒事例から発症者のヒスタミン摂取量を計算すると、大人1人当たり22~320mgとなる。東京都の担当者によると、子どもの場合はより低い摂取量で症状が出る可能性はあるものの、原材料から考えると麺やきざみ揚げが原因とは考えづらく、また、だしパックの5mg/100g未満という量では、原因としての断定には至らないという。
よって今回の食中毒の原因食材は特定できていないが、「長く煮出した」という点が、調理過程の中での「通常とは違う条件」だと担当者は説明する。煮る時間についてメーカーは10分程度としていたが、保育園で提供された給食の調理では45分間煮ていたという。
担当者は、「だしパックでヒスタミン食中毒が起きた事例は、私が知る限りでは無いので、長く煮たことが影響するかは分からない。ただ、長く煮たというのが『通常とは異なる』という意味で、何らかの要因となった可能性も否定はできない」などと説明した。
ヒスタミンによる食中毒とは?
厚生労働省のサイトによると、ヒスタミン食中毒とは、ヒスタミンが高濃度に蓄積された食品、特に魚類及びその加工品を食べることにより発症するアレルギー様の食中毒のこと。
消費者庁によると、ヒスタミンは調理時に加熱しても分解されない。症状は、顔面、特に口の周りや耳たぶの紅潮、頭痛、じんましん、発熱など。重症になることは少ないが、発症した場合には速やかに医療機関に相談するよう呼びかけている。