アメリカの雑誌「TIME」が、2020年の必読書100選を公式サイトで発表した。世界各国の小説、ノンフィクション、詩集の中から選ばれた日本の作家の作品は?
『夏物語』(英題:Breasts And Eggs)/川上未映子さん
2008年に『乳と卵』で芥川賞を受賞した川上未映子さん。TIMEはこの作品の続編である『夏物語』を必読書に選んだ。TIMEは公式サイトで「日本の国内外において、女性であることの意味を鋭く観察し、心を強く打つ肖像画である」などと紹介している。
著者の川上さんは自身のTwitterで、「リストに掲載されたことを嬉しく思います」「世界中に新型コロナウイルスの不安が広まり、冬の厳しい日々が続く中、本と読書が皆さんを可能な限り励ましてくれることを心から願っています」などと英語でツイートした。
『地球星人』(英題:Earthlings)/村田沙耶香さん
『コンビニ人間』で2016年に芥川賞を受賞した村田沙耶香さんの作品からは、『地球星人』が選ばれた。TIMEは紹介文で、「以前絶賛された『コンビニ人間』に続いて、彼女は今日最もユニークで説得力のある日本の作家の一人になった」と称賛している。
『JR上野駅公園口』(英題:Tokyo Ueno Station )/柳美里さん
同じく芥川賞作家の柳美里さんの作品からは、『JR上野駅公園口』が入選した。TIMEは、「過小評価されたアイデンティティを強調したいという願望は、本書の中で光輝いていて、見過ごされていたかもしれない人生と経験への洞察を読者に与える」と紹介している。
本作は福島県出身の男性が主人公。柳さんは、作品の中で会話が全て相馬弁で繰り広げられているとして「翻訳の難易度が極めて高い作品で、兎にも角にも、モーガン(翻訳者)が、凄い」などとツイートした。
『おばちゃんたちのいるところ』(英題:Where The Wild Ladies Are)/松田青子さん
松田青子さんの短編集『おばちゃんたちのいるところ』も選ばれた。TIMEは「各物語はそれぞれ異なる視点で描かれているが、現代の日本女性が負うジェンダーの役割と期待というテーマに触れている共通点があり、伝統的な物語に新鮮な視点を提供している」とつづっている。
このほか、韓国のベストセラー小説で日本でもブームになった『82年生まれ、キム・ジヨン』(チョ・ナムジュ著)なども選出された。
【訂正】2020年11月12日16:30
入選作品として、記事中で川上未映子さんの『乳と卵』と掲載していましたが、正しくは『夏物語』でした。訂正しお詫びいたします。