人気作『ハリー・ポッター』(以下、『ハリポタ』)と同じ魔法ワールドシリーズの『ファンタスティック・ビースト』(以下、『ファンタビ』)で、グリンデルバルド役を演じていたジョニー・デップ。
配給会社ワーナー・ブラザーズから降板の要求があり、それを受け入れたことを11月6日にインスタグラムで明かした。
グリンデルバルドは作品にとっても重要なポジションで、世界中のファンに衝撃が走った。また新たな代役にも注目が集まっている。
降板の経緯と、現地メディアが紹介する代役候補を紹介しよう。
名誉毀損裁判で敗訴⇒直後に降板
デップの元妻で俳優のアンバー・ハード。『ファンタビ』と同じくワーナー・ブラザーズ配給のDC映画『アクアマン』などに出演している。
2人の結婚生活は長く続かず、また、デップのDV疑惑がたびたび報じられてきた。
イギリスのタブロイド紙The Sunは2018年、ハードに対し暴力を振るったとして、デップを「Wife Beater(妻を虐待する者)」と呼び、新作映画の配役に疑問を投げかけた。
デップはこれを名誉毀損とし、発行元であるNew Group Newspapersを相手取り訴訟を起こしたが、11月2日、イギリスの裁判所は、デップ側の訴えを棄却した。
ABC Newsによると、同裁判を担当した判事は、「妻を虐待する者」という表現は「実質的に真実」だとしている。
その4日後、デップはインスタグラムで『ファンタビ』降板を発表。同時にハードへのDV疑惑を改めて否定し、上訴する意志を明らかにした。
デップはアメリカでも、元夫に暴力を振るわれたと主張するハードのワシントンポストの投稿記事をめぐって別の訴訟を起こしている。
降板でも、ギャラは全額支払いか。
DV疑惑が報じられるデップが、多くの子どもが観る『ファンタビ』で重要な役を演じ続けることは、シリーズが始動してからたびたび批判されてきた。
現在撮影中、2022年に公開を予定しているシリーズ第3作から、新たなグリンデルバルド役が登場する。
VarietyやThe Hollywood Reporterによると、『ファンタビ』第3作は、新型コロナの影響で撮影が中断していたが、2020年9月20日に再開。
デップ演じるグリンデルバルドの登場シーンの撮影も、わずかながら、すでに行われていたようだ。デップは、ワーナーと「Pay or Play」契約を結んでいたため、映画の完成や途中降板等に関係なく、ギャラが全額支払われるという。
「北欧の至宝」マッツ・ミケルセンに交渉中と報道
グリンデルバルドは物語において、重要なキャラクター。『ハリポタ』にも登場する、ジュード・ロウ演じる若きダンブルドアと幼なじみで、親密な関係にあるとも言われている。
Deadlineは11月10日、ワーナーは次のグリンデルバルド役にマッツ・ミケルセンと交渉中だと報じた。監督を務めるデヴィッド・イェーツの最有力候補だという。
マッツ・ミケルセンはデンマーク出身の俳優で、「北欧の至宝」と呼ばれることもある。これまで、複数回作品のプロモーションなどで来日しており、日本にも多くのファンがいる人気の俳優だ。
ドラマ『ハンニバル』や映画『007/カジノ・ロワイヤル』『ドクター・ストレンジ』などに出演。殺し屋や精神科医など、魅力的な悪役を多数演じてきた。「闇の魔法使い」であるグリンデルバルドには最適だと、早くも期待の声があがっている。
他の候補者は? コリン・ファレルは…
11月13日時点で「交渉中」と報じられているのはミケルセンのみ。
当初、代役候補の筆頭と言われていたのは、『ファンタビ』シリーズ第一作の「魔法使いの旅」でグレイブスを演じた俳優のコリン・ファレル。
グレイブスは、グリンデルバルドが変装しなりすましていたという役のため、SNSでは、ファンから推す声が多数あがった。しかし、Varietyは、ファレルは2022年公開予定の『ザ・バットマン』に出演予定のため難しいだろうと報じている。
人気作の重要ポジションということもあり、現地メディアでは代役を予想する記事がいくつか出ている。
Colliderでは、新たなグリンデルバルド役としてワーナーに「提案したい」として、9名の俳優を紹介した。
・コリン・ファレル
・ロバート・ダウニー・Jr.
・ダン・スティーヴンス
・マイケル・シャノン
・トム・ハーディ
・アダム・ドライバー
・ヒュー・グラント
・ジェームズ・マカヴォイ
・ティルダ・スウィントン
J.K.ローリングのトランスジェンダーへの発言も問題視
世界的に大きな人気を誇る同シリーズだが、最近では制作陣や出演者をめぐり、いくつかの騒動が起きている。
その一つが、シリーズの生みの親であるJ.K.ローリングのトランスジェンダーをめぐる言動だ。
2018年に、トランスジェンダー女性に対して「ドレスを着た男性」などと中傷したツイートに「いいね」を推していたことが発覚。
2020年にも、ある記事で使われた「月経がある人たち」という表記を茶化すような発言をTwitterで行い、「トランスジェンダーに対して嫌悪的な発言」などと批判が上がった。
これに対し、ハリー役を演じたダニエル・ラドクリフは、「ジョー(J.K.ローリング)は間違いなく僕の人生を責任を持って導いてくれた人です」とした上で、「トランスジェンダー女性は、女性です。これに反対する意見は、当事者のアイデンティティや尊厳を奪い、ジョーや私よりもはるかに専門性のある医療従事者たちの助言と相反するものです」と声明を発表。ローリングの考えに異を唱えた。
この記事はハフポストUS版の記事をもとに、編集・加筆しています。