アメリカ大統領で民主党のジョー・バイデン氏が当選確実となったことを受けて、中国共産党機関紙・人民日報系「環球時報」の胡錫進(こ・しゃくしん)編集長はSNSで「バイデン氏が政権を取ったからといって、米中関係が緩和するなんて幻想を誰が抱いているのか」などとする論評を投稿した。
■「タカ派思想は欠かせない音だが...」
アメリカ大統領選は民主党のバイデン氏が当選確実となっているが、トランプ氏は敗北を認めていない。このため中国は、公式にはバイデン氏勝利を認めておらず、祝意表明を見送っている。
こうしたなか「バイデン政権」に言及したのは、共産党機関紙「人民日報」姉妹紙「環球時報」編集長で、強気な発言で知られる胡錫進編集長だ。
胡氏はSNS・ウェイボーで、アメリカのトップ交代について「バイデン氏が政権を取ったからといって、米中関係が緩和するなんて幻想を誰が抱いているのか?メディア関係者、学者、役人、誰一人として私の周りでは見当たらない」と疑問を呈した。
そして「アメリカの中国に対する戦略的な警戒はこれからも強化される。中国は自分たちの実力をつけ続け、アメリカの対中関係に対するボトムラインを引かねばならない。アメリカの指導者交代に本質的な意義はない。これは中国の主流な社会ではすでに共通認識だと思う」と指摘した。
その一方で、バイデン政権では「米中が戦略的に互いを疑ったり、駆け引きをしたりする現状をコントロールできないか試す、ある種新たな可能性を提供している」とした。
アメリカがヒューストンの中国総領事館を閉鎖させたことや、両国がメディア記者のビザ更新をめぐって対立したことなどを例に挙げ「トランプ政権が選挙に勝つために行ってきた、故意に米中関係を緊張させるような場当たり的な行動を、固定化させないことはできるかもしれない」と述べた。
一方で、中国側も成都のアメリカ総領事館を閉鎖させるなど対抗措置をとっている。
最後には「アメリカに対しては意思や決断力、知恵や柔軟性が必要だ。一部の人はアメリカとただ“やってやる”とだけしか考えていない」と指摘。
中国のアメリカ対策を音楽に喩え、「そのようなタカ派思想は欠かせない音ではあるが、主旋律であり続けることはできない。特にシーンが転換する時には、より多くの音符と想像力が必要だ」と訴えかけた。
混戦の末、バイデン氏が勝利を確実にしたアメリカ大統領選。敗北したトランプ氏ですが、前回より多い7000万以上の票を得るという結果になりました。これが意味することは? 選挙が終わってもアメリカ社会の「分断」は残り続けるのか?
#ハフライブ では、日本から大統領選に在外投票したモーリー・ロバートソンさんらを迎え、「トランプ支持者の“心の中“と分断社会のこれから」をテーマに議論しました。(生配信日:2020年11月5日)
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