伊藤詩織さんと杉田水脈議員の “いいね” 訴訟始まる。法的責任、司法はどう判断するか

被告の杉田議員は出廷せず、請求棄却を求めた。
伊藤詩織さん(2020年9月)
伊藤詩織さん(2020年9月)
Jun Tsuboike

Twitterで伊藤さんを誹謗中傷する複数の投稿に「いいね」を押したとして、ジャーナリストの伊藤詩織さんが自民党の杉田水脈衆院議員に対し、220万円の損害賠償を求めている裁判の第1回口頭弁論が10月21日、東京地裁(武藤貴明裁判長)であった。

訴状によると、杉田議員は2018年6〜7月、元TBS記者の山口敬之さんから性行為を強要されたという伊藤さんの訴えについて、「枕営業の失敗」「日本を貶めている」などと誹謗中傷した13件の投稿に「いいね」を押したとしている。

さらに、伊藤さんを擁護するツイートをした人物をバッシングする複数の投稿にも「いいね」を押したという。

杉田議員の公式Twitterは当時で約11万のフォロワー(現在は19.7万)がいたといい、誹謗中傷ツイートに好感を表明する「いいね」をした行為が、伊藤さんの名誉感情侵害行為にあたると主張している。

被告の杉田議員は出廷せず、請求棄却を求めた。

「いいね」に法的責任は問えるか  

過去には、「リツイート」による名誉毀損が認められた判例があるが、今回の提訴は「いいね」が名誉感情を侵害するとして法的責任を問えるかが焦点となる。

裁判冒頭、 伊藤さんは、杉田議員が「いいね」した言葉や杉田氏自身が発信した自身への批判について「私の心に突き刺さっている」として、「法律を変える力のある国会議員からというものだったことに、衝撃、恐怖さえ感じている」と訴えた。

「今の社会では、被害を届け出た、訴え出た人への風当たりもいまだに厳しいものがあります」

「裁判官の方々には、このようなセカンドレイプに対して、私たちのような被害者がはっきりと『NO』と言えるようになるよう、このケースと向き合っていただけたらと思います」

元TBS記者の山口敬之さんからの性暴力被害を訴えていた伊藤さんは、2019年12月に東京地裁で開かれた民事裁判で勝訴した。山口さんは控訴している。

山口さんとの裁判の判決後、伊藤さんは自身に対するSNSでの中傷やセカンドレイプについて法的措置をとることを明言。

伊藤さんの告発を「枕営業」などと揶揄した風刺画を公開した漫画家のはすみとしこさんや、伊藤さんを「偽名」だと虚偽の内容で中傷した元東大准教授でAIベンチャーDaisyの大澤昇平社長らを相手取り、名誉を毀損されたとして提訴している。

【UPDATE 2020/10/21 14:00】

裁判での伊藤さんの陳述について追記しました。

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