「当事者の人に直接会って話を」足立区議の謝罪、学生たちも見守る

区議会自民党は「ひとつのけじめはつけた」と議員辞職は必要ないとの認識。今後勉強会の開催などを検討するという。
区役所前で抗議のスタンディングを行った学生団体
区役所前で抗議のスタンディングを行った学生団体
Jun Tsuboike

東京都足立区議会で、自民党の白石正輝議員が「L(レズビアン)やG(ゲイ)が広がってしまったら、足立区民がいなくなってしまう」などと述べた問題で、白石議員は10月20日、本会議で発言を撤回し、謝罪した

どういう謝罪をするのか、何を語るのか。区議会には傍聴券を求めて学生も含め多くの人が集まり、希望者多数で抽選となった。

「『絶対に許さない』と声を上げていくことが重要」

差別問題に取り組む学生団体「Moving Beyond Hate」も傍聴に訪れた。報道で白石議員の発言を聞き、メンバーからすぐに「許せない」「何かアクションを」と声が上がったという。

代表の東京大学に通うトミー長谷川さんは、これまでLGBTなどに関する差別的な発言を行ってきた自民党の杉田水脈衆議院議員に触れ「ああいった発言が許されてきたので、今回の白石議員による発言につながった部分があるのではないか」と分析。「謝罪だけでなく、今後こうした発言がされないよう、自民党には対策を求めたいです」とした。謝罪の文言からも真摯さは感じ取れなかったとし、「本当に問題を理解して謝罪しているのか疑問です」と話した。

一橋大学大学院の韓伶実(ハン・ソンシル)さんは「こうした発言があったときに、地位のある人だけが処分を決めるのでは変わっていかない。私たちのような一般の人が『絶対に許さない』と声を上げていくことが重要だと思います」。

団体のメンバーは白石議員の謝罪後には、区役所前で「LGBTQヘイトに抗議します」などと書かれた自作のプラカードを掲げて抗議した。

傍聴券を求めて議会を訪れた足立区在住の高校生は、「白石議員が何を話すか直接聞きたかった」と語る。白石議員の発言は学校でも話題になっているといい、「本当に心から謝罪をするのか、議会の人に言われて謝罪をするのか、しっかり見たいと思った」という。

しかし、「(謝罪は)期待していたものとは違って残念だった。前もって用意した文章を読み上げているだけだと感じた」と落胆を語る。今後期待することについては、「議員を続けるのであれば、当事者の人に直接会って話をしたら少しでも理解ができるんじゃないか」と述べた。

区議会自民党幹事長「ひとつのけじめはつけた」

金田正幹事長
金田正幹事長
Jun Tsuboike

議会閉会後、白石議員が所属する区議会自民党の金田正幹事長が報道陣の取材に応じた。

謝罪の文言は白石議員本人が用意したといい、金田幹事長らも事前にチェックしたという。

白石議員からは10月16日に厚生委員会委員長を辞任したいという申し出があったとし、発言撤回・謝罪と合わせて「ひとつのけじめはつけた」と繰り返した。問責決議案が出ていたことに関しては「党として重く受け止める」としつつも、議員辞職をする必要はないという認識だとした。

批判の声が強くなってからも、白石議員はインタビューなどで「謝罪する気はない」などとし、差別的な発言や誤った認識から来る発言を繰り返してきた。心情の変化はどこからきたのか。金田幹事長は「10月9日の議員総会でいろいろ話した。きっかけにはなったのではないか」と述べた。

本人は「差別的な意図はなかった」と一貫して主張しているが、「差別的だと思われてしまうような表現の仕方があった」と話しているという。

議会中、近藤弥生区長は「足立区が性的少数者を差別するかのような誤ったメッセージが広く区内外に広まっているとしたら、これは大きな危機だと考えている」として、性的少数者と意見を交わす機会を設けると語った。

 「どのような困りごとがあるのか伺って、どのような対策を取れるのか検討する。早急に相談の窓口は整える必要があると感じております」

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