夫婦別姓を望んだカップルの婚姻が民法で認められていないことは違憲だなどとして、国が損害賠償を求められた控訴審判決が、東京高裁であった。
後藤博裁判長は10月20日、控訴を棄却した。
控訴審判決は、原告側の請求を棄却した一審と同様、夫婦同姓を規定した民法を合憲とする最高裁大法廷判決(2015年)をほぼ踏襲する形となった。
最高裁大法廷判決を引用する形で、夫婦同姓制度自体に男女間の形式的な不平等が存在するわけでなく、別姓を名乗れないことで生じる不利益は、通称使用の広まりで一定程度緩和されると触れた。
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夫婦同姓を義務付けた民法の規定について「直ちに個人の尊厳と両性の本質的平等の要請に照らして、合理性を欠く制度であるとは認めることはできない」と引用した。
この訴訟で原告側は、2015年以降に選択的夫婦別姓の法制化を求める意見書が全国の自治体で可決されるなど社会の変化にも触れていたが、後藤裁判長は請求を棄却した一審の東京地裁判決を支持した。
一審・東京地裁判決では、夫婦同姓を義務付けた民法750条などの規定は憲法違反ではなく、法律を作らない国会の対応も違法とはいえないなどと結論づけていた。
選択的夫婦別姓をめぐる裁判は、2015年以降も、サイボウズ社長の青野慶久氏をはじめ、複数の訴訟が提起されているが、いずれも地裁、高裁で請求が棄却されている。