足立区で自民党の白石正輝議員が9月の区議会で「レズビアンやゲイが広がってしまったら、足立区は滅んでしまう」といった同性愛に差別的な発言をした問題で、白石議員の発言撤回と謝罪を求める抗議集会が10月9日に北千住駅前で行われた。
この日は台風14号が関東接近中で雨が降る中、通行人が足早に駅を出入りするそばで、区民や区議会議員、当事者らが集まり、抗議の声をあげた。
「謝罪も学ぶ気もないなら、辞めて欲しい」
集会を呼びかけたのは「足立・性的少数者と友・家族の会」。共同主催者で足立区千住出身の西山千恵子さんは、区議会厚生委員会の委員長でもある白石議員に関して、「『当事者が不快でも良い』と言うのを許してはいけません」と話した。
「私たちは足立区を愛しているので、良くしていくために闘いたい気持ちです」
同団体は白石議員の発言撤回と謝罪を求めるオンライン署名を行っている。10月6日に開始し、11日現在3万人以上の署名が集まっている。
共同主催者のおおつかさんも足立区で育った区民の1人だ。
「足立区は路線も増えて、最近は若い家族が増えています。本来空気が変わっているはずなのに、政治の空気は変わっていません」
「これを機会に、地元で声を上げて良いんだということを下の世代に伝えていきたい。そうすれば議会も活性化されて、暮らしやすい足立区になっていくと思います」
集会のスピーチでマイクを握った人の中には、足立区議会議員で無所属の土屋のりこ議員の姿もあった。
白石議員の発言があって以降、区民からは謝罪を求める声が寄せられているという。議会でも、土屋議員が所属する会派ら3つの会派共同で、議長に抗議を申し入れた。
足立区議会は以前から性的少数者に関する取り組みから「逃げてきた」と話す土屋議員。自身は足立区の中で、LGBTQの人たちを肯定する制度を作っていくことを目指している。
「例えばパートナーシップ条例ができると、それに付随して『SOGIハラやアウティングはパワハラ』といった人権意識が区内で啓発されます。そのためにも、同性カップルを公的に認める制度を作りたいと思っています」
支援団体「LGBTコミュニティ江戸川」代表で江戸川区に同性パートナーと暮らしている七崎良輔さんは白石議員の発言を聞いて、言葉を失ったという。
「謝罪も学ぶ気もないなら、辞めて欲しいと思っています」
足立区に住んでいる同性愛者などLGBTQ当事者の友人らは、白石議員の発言やそれが連日報道されていることに苦しめられていると話す。集会に参加することも困難な彼らを思い、抗議の声を届けに来た。
「江戸川区の区議会議員がもしこのような発言をしたら自分は絶対傷付きます。足立区に住んでいる当事者もたくさんいるので、その人たちが今傷付いていると思うと、いてもたってもいられません」
「連帯をして、(白石議員が)謝罪をするまでアクションを続けていかなくてはいけないという気持ちを新たにしました」
これまでの白石議員の反応は?
白石議員の発言は元々、9月25日の区議会の一般質問で、少子高齢化に関連して言及したもの。
内閣府は少子化が進む原因として子育てに対する負担感や経済的不安定の増大などをあげており、自民党の「性的指向・性自認に関する特命委員会」は少子化と同性婚制度に相関関係は見当たらないとしている。
謝罪要求などに対し白石議員は毎日新聞の取材で、「謝罪する気は全然ありません。辞職は全然考えてもいない」とし、同性パートナーシップなどの制度は「必要ない」と話した。LGBTQ当事者は「私のまわりにはいない」とも答えた。
足立区議会自民党は6日に白石議員を厳重注意。同日、足立区議会のウェブサイトで鹿浜昭議長は、「白石正輝議員のLGBTに関する発言の中で、議員としてふさわしくない誤解を招く表現があり、不快な思いをされた方々に心からお詫び申し上げます」とコメントを発表した。