菅義偉氏が第99代首相に選ばれ、9月16日に発足した菅新内閣。
20の閣僚ポストのうち、女性は上川陽子氏(法務)と橋本聖子氏(五輪)の2人に留まった。閣僚に占める女性の割合は10%だ。
列国議会同盟(IPU)とUN Womenの2020年1月1日時点のまとめによると、女性閣僚の割合が50%以上なのは14ヵ国。世界全体では、閣僚ポストに就く女性の割合は21.3%(4003中851)となった。
世界全体と比較すると、女性の閣僚の割合が低い日本。海外メディアは、菅新内閣や、女性閣僚が2人であったことを、どう報じたのか。
「女性活躍」の扉を閉じた
アメリカのニューヨーク・タイムズが9月16日に掲載した記事は、「日本の新しいリーダーがチームを選ぶ:見慣れた男性と少ない女性」という見出しで、菅新内閣を報じた。
菅氏は、安倍前政権の「継承」を掲げており、再任は8人。そのことから同メディアでは、「この多くの見慣れた顔は、菅氏が安倍氏の方針を引き継ぐという誓いを守るつもりであるという紛れもない証だ」と報じた。
続けて、「それらの方針の中の1つは、扉を閉じたようにも見える」とし、「女性活躍」について言及。女性の閣僚の数が、直前の安倍内閣では3人だったのに対し、菅内閣では2人に減少していると指摘。
一部のアナリストの「菅氏が女性の閣僚を増やすのに失敗したのは、自民党全体で、女性の数が十分ではないという事実が反映されている」という意見も紹介している。
「おじいちゃん内閣」SNSの声を紹介
「日本の新内閣は、(男性が支配する)昔の内閣とよく似ている」という見出しをつけたのは、ワシントン・ポストの9月16日の記事だ。
記事冒頭で、「先進国の一部では、職場での体系的な差別や、ジェンダー不平等の問題に取り組んでいるが、一方、日本政府は概して、沈黙の現状維持を続けている」と説明。
ニューヨーク・タイムズと同様に、再任が多いこと、女性の閣僚が3人から2人に減少したことなどを取り上げた上で、麻生太郎副総理兼財務大臣の名前をあげ、2019年に「子どもを産まなかったほうが問題」という発言をしたことなど、ジェンダーに関するかつての問題発言について言及した。
日本国内では、15日に自民党の新たな役員人事が決定すると、幹事長などの党4役は60~80代の男性議員が占め、平均年齢は71.4歳だった。
SNSでは、菅氏と党4役が手をあわせた写真が拡散され、全員男性であり、その平均年齢の高さが話題を呼んだ。
同メディアは、「ojiichan(=おじいちゃん)」という言葉を用いて、ネット上で新内閣が「おじいちゃん内閣」と呼ばれたことについても紹介した。
さらに、安倍前首相が掲げてきた「女性活躍推進」については、2015年の「女性活躍推進法」成立などについては評価しつつも、未だ女性の賃金や職場での地位が低いと指摘。2020年までに、女性が指導的地位に占める割合を30%にするという目標については「明らかに満たされていない」とまとめた。
2019年の各国の男女格差、ジェンダーギャップの報告書では、日本は153カ国中121位、政治分野では144位という結果についても紹介した。