「私のような普通の人間でも、努力をすれば総理大臣を目指すことができる。まさにこれが日本の民主主義ではないでしょうか」
総裁選に立候補した菅義偉氏は、9月8日の所見発表演説会で“たたき上げ”の政治家としての生い立ちを全面に出した。苦労人で庶民派をアピールする菅氏の発言。SNSでは「日本人の心を揺さぶる強烈なメッセージ」「共感を生むことができる」といった好意的な受け止めが上がる。
■「雪深い秋田の長男」
演説会で、菅氏は何を語ったのか?
冒頭、菅氏は安倍晋三首相への労いの言葉を重ね、新型コロナウイルス対策に関して言及した。その後、「私の原点についてお話させていただきたい」として、自身の生い立ちを語り始めた。
「雪深い秋田の長男として生まれ、地元で高校まで卒業しました。卒業後、すぐに農家を継ぐことに抵抗を感じ、就職のために東京に出てきました」
大学卒業後、民間企業に一旦就職するも、政治家の道を志すように。国会議員の秘書を経て、38歳で横浜市議に当選。47歳で衆院議員に初当選し、国政デビューを果たした。「まさに地縁血縁のないゼロからのスタートでありました」(菅氏)
さらにこう続けた。
「50数年前に上京した際に、今日の自分の姿は全く想像することもできませんでした。私のような普通の人間でも、努力をすれば総理大臣を目指すことができる。まさにこれが日本の民主主義ではないでしょうか」
■「感動した」「ダメなのは努力してないから」
自身の生い立ちを強調し、庶民目線で“たたき上げ”の政治家のイメージをアピールするのは、菅氏の常套手段だ。
菅氏の所見演説の発言に、SNSでは「共感を生むことができる」「日本人の心を揺さぶる強烈なメッセージ」「感動した」といった好意的な受け止めがある。
一方で、「『あなたがダメなのは、あなたが努力していないから』と、成功者バイアスを感じて嫌う人もいるのでは」といった指摘も上がっている。