韓国で多数の女性が脅され、テレグラム上の秘密のチャット部屋で残虐な性映像などが共有されていた「n番部屋事件」。
通称「博士部屋」と呼ばれるチャットルームを運営していたチョ・ジュビン被告(通称「博士」)が9月1日、共犯とされた被告の裁判に証人として出廷し「ブランド化するつもりだった」と証言した。
チョ被告は、未成年者も含まれる多数の女性を脅して性的に搾取した映像を制作しチャットルームで流出。チャットルームの入場料や映像の販売などで犯罪収益を得ていた。
東亜日報によると、9月1日、ソウル中央地裁では児童・青少年性保護に関する法律違反、犯罪団体組織などの罪で起訴された、ハン氏(名前は不詳)に対する公判があった。その裁判で共犯とされているチョ被告の証人尋問も行われた。
証人尋問では、被害女性に自撮りをさせる際に小指を立たせる(約束を意味するポーズ)ようにしたり、自身のハンドルネームに「博士」という言葉を使用するようにした理由などを聞かれ、チョ被告は「私の被害者(奴隷と称された女性が自分の指示で行動している)であることを知らせようとした」と答えたという。
また、国民日報によると、チョ被告は「愚かだが、自分が検挙されないだろうという自信があったし、お金を稼ぐ目的でわいせつ物をブランド化するつもりだった」とも証言したという。
検察側の「性搾取映像を一種のブランド化しようとしたのか」との質問に、チョ被告は「はい」と答えた。
ハンギョレによると、チョ被告はハン氏と共謀して未成年の女性を騙し、ハン氏に直接会わせて性関係を持たせるようにした。これを撮影させ、性搾取映像を流出していたという。
被害女性を男性に直接会わせて撮影を行うようになった理由については、一連の犯罪の舞台となったチャットルーム「n番部屋」の創始者である「ガッガッ」の映像よりも、自分の作品が刺激的ではないという評価を受けたからだという。
一方、チョ被告は、起訴事実の一つである、犯罪団体組織罪(役割を分担し組織的に犯罪を行ったとする罪)については否認した。「カン・フン被告などその他数名を除いては、共犯と思ったこともなければ愛着を持ったこともない」と述べたという。
国民日報によると、「n番部屋」「博士部屋」などに関連した一連のデジタル性犯罪を捜査している警察は、9月3日までに、デジタル性犯罪1549件を摘発し、1993人を検挙したという。
韓国の「n番部屋事件」とは?
チャットツール「テレグラム」上で発生した韓国の事件。犯人グループはSNSで女性をだまして性的な写真を入手し、それを元に脅迫する手口でさらにエスカレートした性的搾取画像や映像を送らせたりしていた。画像などは複数の有料チャットルームで共有され、金を払った会員26万人(重複含む)がそれを見ていた。被害者の女性は未成年を含む多数にのぼる。現在、警察が把握した被害者は10人だが、逮捕された容疑者の供述から70人程度と推測されている。韓国政府は、チャットルームの有料会員になって閲覧していた者も含む全員を厳正に調査し、処罰する方針だ。