イギリスの専門誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」はこのほど、世界大学ランキングの最新版を発表した。ランキングでは清華大学(中国)が初のトップ20入りを果たすなど中国勢の躍進が報じられる一方で、日本勢は東京大学の36位が最高だった。
この現状で、不安視されているのが国が取り組んでいる「2023年までにトップ100に10校以上を入れる」とした目標だ。期限まであと2年半と迫りながら、現状は2校のみ。ネットでは達成を絶望視する声も聞かれるが...担当する文科省に受け止めを聞いた。
■中国勢をべた褒め
「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」が発表したのは「世界大学ランキング2021」。論文引用数や国際化の度合いなどをもとに毎年発表されているもので、1位にはイギリスのオックスフォード大が5年連続で選ばれた。
タイムズ誌が「歴史的な躍進」と表現したのは中国勢。清華大学が現在の統計方法になってからアジア勢としては初の20位入りを果たしたほか、北京大学が23位にランクイン。100位以内の大学も3校から6校へと倍増させた。
タイムズ誌は理由として、中国は国家単位で20年以上にわたり高等教育や研究分野への投資を続けてきたと指摘。欧米でのトップクラスの研究機関での人材育成も行なっているとした。
中国はこれまで、海外の優秀な研究者を招聘したり、海外で研究する中国人を国に呼び戻したりするなどの政策を続けている。
■「達成目指していないわけでは...」
かたや日本勢の記述はなし。東大の36位は前年と同じで、京大の54位はランクを11あげている。一方で、上位200校に入っているのは6年連続でこの2校のみだ。
このランキングが発表されると話題になったのが、2013年に掲げられた「日本再興戦略」に記されたある目標だ。2023年までのKPI(評価指標)として、タイムズ誌のランキングで「世界トップ100に10校以上を入れる」と明記されているのだ。
しかし、期限まであと2年半に迫った今も100位はおろか、200位以内にすら東大と京大以外の影はない。Twitterでは「国民に説明する義務がある」「3校目が遠い」など厳しい声も上がっている。
この現状をどう受け止めているのか。文科省高等教育局・国際企画室の担当者はハフポスト日本版の取材に対し「引き続き達成を目指している。ランキングは毎年確認している」と説明した。
その上で「複数の指標のうち、論文の引用数や国際化の指標が他国と比べ弱いところ。引き続き研究支援体制や国際化の支援などを行なっていく」とした。
とはいえ、そういった指標が比較的低く評価されているのは目標を打ち出した時から変わっていない。担当者は「達成は目指していないわけではないが、いち民間企業のランキングを絶対視しているわけでもない。各大学が課題を把握する参考資料になってくれれば」とも話している。