「今後特別警報級の勢力まで発達する」とされ、気象庁が最大級の警戒を呼びかける台風10号。
9月5日午後2時に気象庁が発表した資料によると、6日には沖縄・奄美・九州地方に接近、九州には上陸する恐れもあり、猛烈な風となる見込みだ。
6日の沖縄・奄美地方の最大風速は55メートル(最大瞬間風速80メートル)、九州南部では45メートル(同65メートル)、九州北部で25メートル(同35メートル)などと予想されている。
最大風速は10分間平均風速の最大値。最大瞬間風速は、3秒間平均の最大値だ。風の強さは刻一刻と変わるため、最大瞬間風速の方が大きくなる。
■瞬間風速20メートル(一般道路の自動車くらいの速さ)
まとめによると、瞬間風速20メートルを超えると、「風に向かって歩けない」「その場にかがみ込みたくなる」というような状態になる。樹木全体が揺れ、看板やトタン板、屋根瓦が外れたり剥がれたりもし始める。
日本風工学会が試算した人が風から受ける力は17.1キログラム。
■瞬間風速30メートル(高速道路の自動車くらいの速さ)
「何かにつかまっていないと立っていられない」「飛来物によって負傷するおそれがある」状態。車を通常の速度で運転するのが困難になり、列車が運転を中止。根の張っていない木が倒れ始め、ビニールハウスの骨組みが曲がり始める。
人が風から受ける力は38.6キログラム。
■瞬間風速40メートル(プロ野球選手の球速くらい)
これ以上の風速は屋外での行動は危険な状態。走行中のトラックが横転、車の走行は危険な状態。看板が飛散し道路標識は傾く。屋根瓦などが広範囲にわたって飛散し始める。
人が風から受ける力は68.6キログラム。
■瞬間風速50メートル
多くの樹木が倒れる。自動販売機が倒れたり移動したりし、電柱や街灯が倒れ、ブロック塀が倒壊する。老朽化した木造住宅が倒壊、金属屋根の不器材が広い範囲で剥がれる。固定していない雨戸や窓シャッターが外れ始める。
人が風から受ける力は107.1キログラム。
■瞬間風速60メートル以上(新幹線の速度くらい)
木造住宅の倒壊が始まり、鉄骨倉庫が変形する。
人が風から受ける力は154.3キログラム。
気象庁も日本風工学会も、これ以上の瞬間風速について言及していない。気象庁によると、過去に最大瞬間風速で80メートル以上を観測したことがあるのは富士山、沖縄県宮古島、高知県室戸岬の3地点だけだ。
過去の台風でも、強風による大きな被害が出ている。
気象庁の資料によると、2018年の台風21号では、関西国際空港で最大風速46.5メートル、最大瞬間風速58.1メートルを観測。死者14人、負傷者980人など大きな被害が出た。タンカーが流されて連絡橋に衝突し、空港へのアクセスが制限される事故もあった。
このほかの台風でも、風にあおられて転倒して亡くなったり、車が横転して運転手が死亡したりする事故も起きている。「最大瞬間風速80メートル」がいかに危険かを踏まえた上で、命を守ってほしい。