「過去最強クラス」ともいわれる台風10号。別名「ハイシェン(海神)」と呼ばれ、中国表記で「海神」を意味する。
台風の名前、一体誰が決めているのか?実は日本にも関係する「ルール」があった。
■かつてはアメリカが命名
気象庁の公式サイトによると、従来は、アメリカが台風ごとに英語表記の人名を付けていた。
アメリカでは、ハリケーンに名前を付けることでそれぞれを区別して混乱を防ぎ、市民に覚えてもらう効果を期待していた。アメリカの気象学者らが、自分の妻や交際相手の名前を付ける風潮が広まり、女性名が多かったといわれている。1979年からは、男女名が交互に付けられるようになった。
その後、日本も加盟する各国の政府間組織である「台風委員会」が、北西太平洋または南シナ海の領域で発生する台風には、共通のアジア名を付けることを決定。2000年以降は、これらの領域内で使われている固有の名前で、日本を含む加盟国などが提案したものが採用されている。
アジアの人々に馴染みのある呼び名を付けることで防災意識を高めることや、アジア地域の文化の尊重などを目的としているという。
名前のリストに並んでいるのは140個。台風が発生するたびに、リストの順番通りに名前が付くことになる。約5年間で一巡する。
■日本からノミネートされているのは・・・
140個のうち、日本名でリストに入っているのは10個。番号の若い順から、
コイヌ、ヤギ、ウサギ、カジキ、カンムリ(冠)、クジラ、コグマ、コンパス、トカゲ、ヤマネコ。
これらの共通点は「星座」だ。
なぜ星座名でそろえているのか?
気象庁は理由を、「特定の個人・法人の名称や商標、地名、天気現象名ではなく『中立』である」「台風とイメージが関連する天空にあり、人々に親しまれていること」などと説明している。
他の国の名前をみると、動物や植物、伝説の人物など様々だ。ベトナムは神話の山の神「ソンティン」、中国は孫悟空で「ウーコン」、フィリピンは“むちを打つこと”を意味する「ハグピート」などで、その地域ごとの呼び方に準じている。
■名前が変わるのは、こんなとき
リスト内のアジア名が「削除」されることもある。
その台風が大きな被害をもたらした時などは、台風委員会の加盟国・地域からの要請を踏まえ、それ以降の台風の名前として使わないよう、リストの名を変更することがある。
リストの72番目である、台風10号のハイシェン。その名がリストから外されるような大きな被害が出ないことを祈り、接近にもしっかり備えたい。