安倍首相辞任に伴う自民党総裁選は、石破茂元幹事長、岸田文雄政調会長、菅義偉官房長官が立候補の意向を示しており、三つ巴の戦いとなっている。
総裁選は9月8日に告示され、14日に開かれる両院議員総会で投開票、決定する。
候補者3人は、首相になったら何をするのか。どんな考えの持ち主なのか。政策集の内容や、出馬・政策発表会見での発言を比べてみる。
比較するのは、政策集に盛り込まれた(1)新型コロナ対策(2)憲法改正(3)外交(4)ジェンダー・多様性・子育てに加えて、出馬会見などの場で言及した(5)「森友・加計」「桜を見る会」調査(6)総裁選の進め方の全6項目。
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(1)新型コロナ対策
石破
いかにして感染を抑えるか。PCR検査の拡大。人口当たりのPCR検査の数が少ないのは厳然たる事実だ。そのことには理由があるはずだ。できない理由をいくら言っても仕方がない。いかに検査を徹底し、どこで何が起こっているかが分からないと対策の打ちようがない。検査の拡大が第一だ。
保健所の数が20年、30年の間に半分に減ってしまった。反省していかねばならない。保健所の機能をいかに発揮させるかは、OBの活用も含めて考えていかねばならないし、IT化、電子化も遅れている。民間に検査をお願いする態勢も拡大していかねばならない。
経済か感染拡大防止かという二者択一ではない。両方やっていかねばならないことだが、いかに交流機会を拡大するかと、いかに感染機会を減少するかの両立を図っていかねばならない。
マスク、うがい、手洗い、消毒の徹底。ソーシャル・ディスタンスの確保。そういうことをさらに徹底し、感染機会の拡大を減少させていかなければならない。それと交流機会の拡大の両立を目指していく。
マスク、うがい、手洗い、消毒の徹底。ソーシャル・ディスタンスの確保。そういうことをさらに徹底し、感染機会の拡大を減少させていかなければならない。それと交流機会の拡大の両立を目指していく。
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私は都道府県にもっと権限を委譲すべきだと考える。どこで何が起こっているかは、都道府県が一番よく知っている。あるいは市町村かもしれない。しかしそこにおいて一律の対応がとられることが正しいとは思っていない。いかにして都道府県の権能を強化していくかもあわせて、特措法のあり方を見直す。必要であれば改正も行う。このように考えている。(1日の出馬会見での発言)
岸田
長期戦の様相を呈してきているので、感染症対策と経済対策はともに人の命にかかわる重大な課題だと認識し、車の両輪としてしっかりと進めていかなければならない。経済政策についても、まだしばらく需要の回復というのは見込めないと感じているので、財政措置、金融措置、これは引き続き、思い切って行わなければならない。
事業規模230兆円の緊急経済対策は一日も早く実施しなければならないし、先日も予備費の執行が新たに確認されたが、必要なものはつけ加えていくことが大事。
事業規模230兆円の緊急経済対策は一日も早く実施しなければならないし、先日も予備費の執行が新たに確認されたが、必要なものはつけ加えていくことが大事。
これから経済で人や金や物をしっかり動かしていくことを考えると、そのために検査体制をしっかり整備していく努力も必要になってくるのではないか。
感染症対策と経済対策、それぞれやらなければいけないことは医療機関への支援を始め、さまざまあるが、共通する課題として、検査体制の充実、実数を上げることと同時にそれらの検査をどう使っていくのか、適切なシステムを作っていく。こういった観点は重要になってくるのではないか。(1日の出馬会見で質問されて)
感染症対策と経済対策、それぞれやらなければいけないことは医療機関への支援を始め、さまざまあるが、共通する課題として、検査体制の充実、実数を上げることと同時にそれらの検査をどう使っていくのか、適切なシステムを作っていく。こういった観点は重要になってくるのではないか。(1日の出馬会見で質問されて)
菅
なんとしてもコロナ感染拡大の防止と、社会経済活動の両立を図り、雇用を守り、経済の回復につなげていかなければならない。ポストコロナを見据えた改革を着実に進めていく必要がある。
今私に求められているのは、新型コロナウイルス対策を最優先でしっかりやってほしい(ということ)。それが私は最優先だと思っている。(2日の出馬会見)
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(2)憲法改正
石破
憲法改正は、自民党で党議決定した平成24年の憲法改正草案が今でも自民党の唯一の案だと考えている。野党の時に作ったもの。(草案では)臨時国会は衆参の議員の一定の要求があれば、内閣は20日以内に召集の手続きをとらねばならないということを決めている。何が必要なのかをもう一度議論した上で、野党の理解を得られ、国民の理解を得られ、国にとって必要なものは何かということを、きちんと国会の委員会を通じて明らかにしていかなければならない。国民投票法の早急な成立は言うまでもない。(1日の出馬表明会見で質問されて)
岸田
憲法は国の基本であり、この国民として、政治として、時代の変化の中で、絶えずどうあるべきか考えていかなければいけない課題であると認識している。(自民党がたたき台に盛り込んだ)この4項目についても、自衛隊の憲法における明確化、違憲論争への終止符も大変重要な課題ですが、今、首都直下型地震をはじめ災害の時代といわれる中で、緊急事態でも国民の代表である国会の権能をしっかり守っていくためにはどうあるべきなのか。
子供の貧困、子供食堂が注目を集める中で、所得の格差が教育の格差を生み、教育の格差が所得の格差を再生産する、負のスパイラルが始まっているといわれる日本の社会にあって、憲法は義務教育の無償化しか書いていない。日本に生まれた子供が最低限の教育を受ける権利を考えていくなど、教育の充実の問題も、大変重要な現代的な憲法改正の課題だ。さらには4つ目として一票の格差の問題。
このように、憲法改正という議論、ややもすると9条の問題が頭に浮かんでくる。それ以外にも現代的に、現代的な課題として、大変重要な課題がたくさんある。政権が代わって、誰がリーダーになっても、絶えず考えていかなければいけない課題ではないかと思っている。(1日の出馬会見で質問されて)
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菅
憲法改正に取り組む(政策集より)
(3)外交
石破
東京、平壌で連絡事務所を開設する。それは政府として公式に、責任をもった立場で拉致問題をどのように解決するかということに対応していかねばならないからだ。拉致問題の解決。安倍政権で実現できなかった大きな課題の一つだ。政府として主体的に取り組んでいく。(1日の出馬表明会見で質問されて)
岸田
外相時代、慰安婦問題に関する日韓合意を結んだ担当大臣でしたので、今の日韓関係を大変残念な状況にあると思っている。韓国側にもいろいろな言い分があるのかもしれないが、私としてはこの日韓関係については、まずは国際法を守らなければいけない。国際的な約束、国際儀礼はしっかり守らなければいけない。こういった原則についてどうあるべきなのか、これは韓国の皆さんにもしっかりと考えていただき、われわれも共に考えていく。こういった努力をしなければ、なかなか今の状況は変えられないのではないかと心配をしている。(1日の出馬会見で質問されて)
菅
拉致問題の解決は、ありとあらゆるものを駆使してやるべきであるという考え方。拉致問題担当になる以前から、官房長官として拉致問題については、首相とある意味で、まさに相談をしながら進めてきているということも事実。ですから拉致問題解決のためには、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長とも条件をつけずに会って、活路を切り開いていきたい。(2日の出馬会見で質問されて)
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(4)ジェンダー・多様性・子育て
石破
マイノリティーの権利は最大限尊重されるべきものだと思っている。私はユニバーサル議員連盟の会長もしているが、多様性を最大限認める社会であらねばならない。LGBTだということで差別される社会であるべきだと全く思っていない。そのために法改正が必要であれば、私はそれを逡巡するものではない。
夫婦別姓について。女性の立場、男性でも一緒だが、姓を変えなければいけないことの負担は相当のものがあるだろう。夫婦別姓は基本的に実現すべきものだと考えている。家の絆はどうなる、表札が大変じゃないかとか、いろんなことはあるが、夫婦同姓でもなかなか難しい婚姻生活はあるんじゃないか。夫婦別姓にしたらおかしくなるのかというと、必ずしもそうではない。郵便配達の時の表札をどうするかという問題もあるが、それは技術的に可能な、解決する課題だと思っている。(1日の出馬表明会見で質問されて)
岸田
政治の場を含めて 女性の皆さんに活躍していただく時代を作ることは大変重要な課題。単に掛け声だけでなく、具体的に主要なポジションについてもらい、活躍してもらうことは重要だと思っている。
ジェンダー平等は今の社会において大変重要な議論。夫婦別姓の議論もかなり多様化している。
保守的な方々からの中でも家の名前を守るために夫婦別姓を推進するという考え方の方々もいる。一方従来のように個人の存在、個人の尊重という考えに基づいて夫婦別姓を訴える人もいる。夫婦別姓の議論の基本的考え方、あるいは目指すものが、保守的な方からリベラルな方々まで、それぞれの思いで、論じておられる。こういった多様な議論が広がっているのを感じている。そうであるならば尚更、保守的な方々も、リベラルな方々も幅広い議論を深めるのが大事なのかなと思っている。(3日の政策発表会見で質問されて)
保守的な方々からの中でも家の名前を守るために夫婦別姓を推進するという考え方の方々もいる。一方従来のように個人の存在、個人の尊重という考えに基づいて夫婦別姓を訴える人もいる。夫婦別姓の議論の基本的考え方、あるいは目指すものが、保守的な方からリベラルな方々まで、それぞれの思いで、論じておられる。こういった多様な議論が広がっているのを感じている。そうであるならば尚更、保守的な方々も、リベラルな方々も幅広い議論を深めるのが大事なのかなと思っている。(3日の政策発表会見で質問されて)
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菅
保育サービスを拡充し、長年の待機児童問題を終わらせて、安心して子供を産み育てられる環境、女性が活躍できる環境を実現する(政策集より)
(5)「森友・加計」「桜を見る会」調査
石破
政権の中にいなかったので、事実関係がどうかを完全に承知しているわけではない。仮に政権の中に入ったとするならば、事実関係はどうなのか、明らかになった事実で検証しなければいけないことがあるとすれば、それは検証していかなければいけない。 政治が何かごまかしているんじゃないの、嘘を言っているんじゃないの、そういう思いがある限り、納得にも共感にもならない。政権に入ったのちに、何がどういう問題であるかの解明をまず第一にし、必要ならば当然やるということだ。(1日の出馬表明会見で質問されて)
岸田
実際どうだったのかについて話を聞くことは当然、しなければならないんではないかと思う。実態が分かった上で、何かすることがないか考えていくこと。今の段階では、(政府の)中にいた人間でもありませんし、実態を承知しているわけではないので、今申し上げたような答えとさせていただきたい。(1日の出馬会見で質問されて)
菅
森友問題は財務省関係の処分も行われ、検察の捜査も行われ、すでに結論が出ていることでありますから、現在のままであります。また、加計学園問題についても、法令にのっとり行うプロセスで検討が進められてきたというふうに思っている。『桜を見る会』については国会でさまざまなご指摘があり、今年は中止して、これからのあり方を全面的に見直すことにしている。(2日の出馬会見で質問されて)
(6)総裁選の進め方
石破
なかなか全国遊説も難しいのかもしれない。国民に密な状況をもたらして迷惑を掛けることになりかねないので、どうやって党本部でリモートで政策を議論する場を作っていただくかということだ。通り一遍のものではなくて、例えば外交なら外交、エネルギーならエネルギー、税制なら税制、テーマを分けて徹底的に討論する場を党で作っていただきたい。
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メディアにお願いしたい。国民は投票できない。党員も投票できない。しかし自民党総裁は次期内閣総理大臣なので、その人が何を言うかを聞くのは、主権者たる国民の権利だ。そこで誰が何を言うのかを聞くのは、主権者の権利にも近いものだと思う。そういう場をできるだけ提供いただきたい。
政策発信は、主にウェブ中心として最大限やっていきたい。声がかかれば、いかなるメディアの出演も、テレビであれラジオであれ、その他の媒体であれ、一切断るものではない。
国会議員へのお願いは従来通りのことだ。礼儀を欠くことはしてはならないと思っている。(1日の出馬表明会見で質問されて)
岸田
まず、これは自民党の党則6条に基づいて、総裁が欠けた場合に、基本はフルスペックの総裁選挙を行うわけですが、緊急の場合等においては、両院議員総会で決定することができる。こうした党則になっている。 これを党則上、正当性がないとか、おかしいとか言うわけにはいかない。任期途中で総裁がかけた際に、フルスペックで総裁選挙を行ったということは、今までないというような説明も受けている。
しかしなぜ緊急の事態で、そういう対応を取ったのか。フルスペックの総裁選をやった場合に、名簿の確定などから、1カ月半から2カ月かかるというような事務的な問題。それから、両院議員総会をやるといっても、各県で、それぞれ党員投票をやるというような動きが今どんどん広がっている。こういったことをしっかりと説明していないから、国民の中からおかしいのではないか、事実150人以上の国会議員が、これはフルスペックであるべきだというような意見も出している。
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手続きがそうだとしても、多くの国民の皆さんにどうしてそうなのかということについて、そして、党員投票の努力を県連などで行っているという実態が伝わっていないから、厳しい声にもつながっているんではないか。これをしっかり説明することによって、こうした取り組みについて理解してもらうことは、大変重要なのではないか。(1日の出馬会見で質問されて)
菅
私は、候補者です。それぞれ党は党のルールによって、今この総裁選挙が行われておりますから、その中で全力を尽くしていきたいと思う。(2日の出馬会見で質問されて)