留学中止で返金もなし。不満と嘆きばかりの日々で私が前向きになれた理由。

コロナ時代の「被害者」ならないために伝えたい。どこにでもいるありふれた大学生である私がコロナ禍の中で学んだ、2つの事実。
渡邊真未さん
渡邊真未さん

私は現在、早稲田大学の大学4年生です。8月より、アメリカのオクラホマ州において青少年支援を行うボランティアとして現地の大学に留学をする予定でした。

現在、大学に通っている学生から「アルバイト先が休業してしまった」、「サークル活動ができない」、「通学で授業を受けられず、オンライン授業になっているのに学費が安くならない」、そんな言葉をたくさん聞きます。

私の場合はは予定していた留学が新型コロナウイルスの影響で中止となったものの、留学のために届けを出して休学することを決定していました。そのため私も、6月までは周りの人たち以上に何もできない日々に不平不満を言っている1人でした。

突然の留学中止

振り返れば、留学の準備は2019年12月から開始。留学先へ事前の事務手数料などを支払った直後、日本において新型コロナウイルスの流行が問題となりました。それでも5月上旬には、私が参加する予定だった「留学のプログラムは予定通り行う」という連絡を留学先から受けていたのです。ところが、その間何も音沙汰がないまま迎えた7月1日、突然留学中止の連絡を受けました。

そして、留学中止によって以下の問題が起きました。

1.支払った事前の手数料、50,000円の返金がされないこと

2.大学休学を決定していたので、留学中止となったことにより休学中の活動の代替え案がないこと

3.留学予定だったため、2021年卒として就職活動を進めておらず、留学が中止となっても2021年度卒ではなくて2022年卒として就職活動をする必要があること

4.新卒採用に力をいれる企業は理由のない「留年」を嫌う傾向もあると聞いたことがあり、もし留学中止による留年がそれに該当する場合、就職活動に不利になる可能性があること

これらの問題に直面した私に残ったのは無力感。変えることもできない世界の現状や日本の就職活動の制度に文句を言い続けました。そんな状況に追い打ちをかけたのが、日々の孤独でした。コロナ禍において、直接友人と会う機会が極端に減っていきました。悩みを打ち明けることのできる友人とも、意識して連絡をとらない限りコミュニケーションは生まれません。毎日、失ったものやできないことばかりを数えて過ごしていました。

できることを考えよう

コロナ禍が長期化していく中で、不平不満を言うだけで何も行動に移すことをしなかった自分を変えたいという気持ちが強くなりました。

そんな時に出会ったのが、学生団体「できること会議」でした。できること会議が発信していた、新メンバー募集に関するInstagramの投稿をたまたま目にしました。この会議は、同じ大学の教育学部4年の青柳雄大さんと法学部4年の上羽友香さんが立ち上げたものです。

団体のモットーは、「社会全体に対する若者の無力感を払拭するために、今私たちにできることを会議しよう」というもの。そのモットーから、私はまさに自分自身がなりたい、社会活動に参画し社会全体を変革しようとする若者の姿を想像することができました。そのため、新メンバー募集に応募し、参加することとなりました。

新メンバーとして運営に関わることとなった私は、現在「できること会議」において定期的なオンラインイベントの開催を行っています。「できること会議」では、私のような若者が社会問題を解決するためにどのようなことが実際にできるのか考え、日々対話を重ねています。

8月19日に行われたイベントでは「LGBTQ+わたし」というテーマを設定し、「LGBTQ+」の方々が暮らしやすいコミュニティを作るために私たち若者(30歳以下)ができることを話し合いました。

これまでにイベントを累計11回開催し、全国から260名以上の方にご参加頂きました。また「できること会議」から実際に5つのプロジェクトが生まれ、朝日新聞やNEWS ZEROなど各種メディアに掲載して頂きました。

「できること会議」運営メンバー8人のミーティングの様子。まだ直接会ったことのないメンバーもちらほら…
「できること会議」運営メンバー8人のミーティングの様子。まだ直接会ったことのないメンバーもちらほら…

下を向いて嘆いてはいけない。今こそ前を向いて対話を。

どこにでもいるありふれた大学生である私が、コロナ禍の中で学んだ事実が2つあります。

1. できないことではなく、できることを考えるだけで前に進むことができる

自分が置かれている状況にただ不満をこぼすのではなく、少しでも変える方法を見つけてみる。そうすれば自分自身のポジティブな変化に繋がっていきます。

2. 1人で嘆くのではなく、誰かと対話をすることが大切である

自分が持つ意見を誰かと語りあうだけで、想像もしなかったような大きな動きに繋がることがあります。また、孤独の中で悩むのではなく誰かと共有すると心が軽くなることがあります。

私はコロナウイルスの影響で留学が中止となり、できなくなってしまったことや損をしてしまったことばかりを数える日々を送っていました。私のような若者は決して少なくないはずです。しかし、私たちの貴重な時間を下ばかりを向いて過ごすわけにはいきません。この時代の「被害者」とならないためにも、ぜひ前を向いて対話をしてください。 

You must be the change you want to see in the world.

(あなたがこの世で見たいと願う変化に、あなた自身がなりなさい。)

Mahatma Gandhi

これは「インド独立の父」と称されるマハトマ・ガンディーの言葉です。生活が目まぐるしく変化する現代において、私は未だ社会を変化させることへの無力感を払拭できずにいます。その理由の根幹には、私が女性であること、若いこと、社会人として働いた経験がないことなど様々な事実が存在しています。しかし、私は決して自分が理想とする社会を実現することへ歩みを止めることはありません。「ありふれた大学生」なりに、私でもできる小さなことから始めていきたいと思います。

(編集:榊原すずみ

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