安倍晋三首相の辞任表明を受け、後継を決める自民党総裁選に注目が集まっている。9月1日に行われる自民党総務会で、今後の日程や選出方法が決まる見通しだ。
「ポスト」安倍にふさわしいのは誰?
すでに党内では「候補」と目される人たちの動きが活発化しているが、各メディアの世論調査などから浮かぶ人物とは様相が異なるようだ。
新聞・テレビの調査、石破氏が軒並みトップ
日経・テレビ東京
まずは直近の調査から。日本経済新聞とテレビ東京が安倍首相の退陣表明の翌29、30日に行った緊急世論調査では、「次の首相にふさわしい人」のトップは石破茂氏で28%だった。次点が河野太郎防衛相で15%、小泉進次郎環境相が僅差で3位となった。
1位 石破茂 28%
2位 河野太郎 15%
3位 小泉進次郎 14%
4位 菅義偉 11%
5位 岸田文雄 6%
<日本経済新聞とテレビ東京の緊急世論調査より。8月29・30日実施>
携帯電話を含むRDD方式による電話調査、有効回答数は778
共同通信
共同通信も8月29、30日に全国緊急電話世論調査を実施。自民党議員10人の氏名を挙げて「次期首相にふさわしい人」を聞いた。
トップは石破氏で34.3%。2位が菅氏で14.3%、河野氏は3位だった。
1位 石破茂 34.3%
2位 菅義偉 14.3%
3位 河野太郎 13.6%
4位 小泉進次郎 10.1%
5位 岸田文雄 7.5%
「分からない・無回答」 15.1%
<共同通信社・全国緊急電話世論調査より。8月29・30日実施>
電話の有効回答数は固定528人、携帯522人。
毎日新聞
毎日新聞と社会調査研究センターの全国世論調査は安倍首相の辞任表明の6日前、8月22日に行われた。こちらもトップは石破茂氏で、まだ退陣表明をしていなかった安倍首相は4位だった。
6月の調査で同じ質問をした際にも石破氏が1位だったという。
こちらは携帯電話での回答者に「次の首相にふさわしいと思う人」を1人挙げてもらうスタイルで、回答には自民党の国会議員以外にも、橋下徹元大阪府知事や吉村洋文大阪府知事、小池百合子東京都知事、枝野幸男立憲民主党代表の名前も挙がった。
1位 石破茂 15%(111人)
2位 河野太郎 11%(83人)
3位 橋下徹 6%(45人)
4位 安倍晋三 3%(21人)
5位 吉村洋文 3%(20人)
6位 小池百合子 2%(18人)
7位 小泉進次郎 2%(17人)
8位 岸田文雄 2%(15人)
8位 枝野幸男 2%(15人)
10位 菅義偉 2%(14人)
<毎日新聞と社会調査研究センターの全国世論調査より。8月22日実施>
携帯電話のみ、有効回答数735人。*太字は自民党国会議員
読売新聞
読売新聞が8月7~9日に行った電話全国世論調査(携帯を含むRDD方式)でも、トップは石破氏。次点が、現役の安倍首相を抜いて小泉氏、3位が河野氏だった。岸田氏や菅氏の名前に加え、野田聖子氏や西村康稔経済再生相の名前も挙がった。
朝日新聞
朝日新聞の直近の調査は6月20、21日に行った「定例RDD調査」で、7人の氏名を挙げて「次の自民党総裁として、だれがふさわしいと思うか」尋ねた。
首位は石破氏で、年代別でも18~29歳を除く全ての年代でトップだった。10〜20代では、全体2位の小泉氏に支持が集まった。
1位 石破茂 31%
2位 小泉進次郎 15%
3位 河野太郎 9%
4位 岸田文雄 4%
5位 菅義偉 3%
6位 茂木敏充 1%
7位 加藤勝信 0%
「この中にはいない」 31%
「その他・答えない」 6%
< 朝日新聞社 2020年6月定例RDD調査より>
有効回答数は固定1035、携帯1030
テレビや新聞の世論調査では、全ての調査で石破氏がトップだった。今回は不出馬を表明している小泉氏と、所属する麻生派が菅氏の支持に回ることから出馬を見送るとされている河野氏も人気が高い。
一方、有力候補の菅氏は共同通信の調査以外では順位が低く、国民からの人気は高いとは言えないようだ。
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査は、委託先の不正で過去の結果が削除され、新たな調査も休止中となっている。
ネットで人気の河野太郎氏、注目のツイートは?
安倍首相の退陣表明を受けてYahoo!ニュースが行っているアンケートでは、9月1日午前9時現在で6割が河野氏支持という結果になっている。アンケートは9月7日まで回答できるが、すでに61万を超える回答が寄せられており、関心の高さもうかがわせる。
ただ、新聞やテレビの調査は回答者の居住地域、性別、年代などが実際の有権者の構成比と偏らないように調査手法が工夫されているが、ネットのアンケートはサイトにアクセスできる人なら誰でも回答が可能。実際の世論を反映しているとは言えないが、ネットでは河野氏がダントツの人気となっている。
産経新聞によると、河野氏が出馬した場合は小泉氏は支援すると表明していた。
熱視線が注がれる中、現役閣僚の中でも最も頻繁にSNSで発信を行っているとされる河野氏は、総裁選や安倍首相の辞意表明についてはTwitterで沈黙を守っている。