石破茂氏ってどんな人?森友・加計や公文書改ざん問題で批判貫く。似合いすぎたコスプレも 【総理大臣候補】(UPDATE)

次期総理大臣の候補者のうち、総裁選への出馬回数が最も多い石破茂・元幹事長。安倍晋三首相とは長くライバル関係にあり、政権への批判もはばからない。
自民党の石破茂・元幹事長
自民党の石破茂・元幹事長
Kim Kyung Hoon / reuters

総裁選の候補者の中で、過去の出馬回数が最も多い自民党の石破茂(いしば・しげる)元幹事長。朝日新聞デジタルなどは、石破氏が安倍晋三首相の辞意表明に伴う総裁選に立候補する方針を固めた、と報じた。

安倍晋三首相とはライバル関係にあり、安倍政権の失態への批判もはばからなかった。どんな人物なのか?過去の発言や経歴をたどってみたい。

石破氏は1957年生まれ、鳥取県出身。三井銀行(現在の三井住友銀行)への入行を経て、1986年の衆院選で初当選し政界入りした。父二朗氏は元参院議員。防衛大臣、農林水産大臣、自民党の政務調査会長、幹事長などを歴任した

「安全保障」と「地方創生」の確立を、自身の政策の二本柱としている。

安全保障を巡っては、北朝鮮が「現実的な脅威」であると主張。「日米同盟の強化のみならず、地域の多くの友好国との安全保障を強化し、重層的な安全保障体制を確立する」と訴えている

デモを「テロ行為」 ⇒ 撤回し、謝罪

石破氏は以前、国民のデモに対する発言で批判を浴び、撤回を余儀なくされたことがある。

2013年11月、当時自民党幹事長だった石破氏は、特定秘密保護法案に反対する国会周辺のデモについて、「絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらない」とブログに記した。これに対して批判が高まったことから、石破氏は後日、発言の一部を撤回・修正し、謝罪した。

<「一般市民に畏怖の念を与えるような手法」に民主主義とは相容れないテロとの共通性を感じて、「テロと本質的に変わらない」と記しましたが、この部分を撤回し、「本来あるべき民主主義の手法とは異なるように思います」と改めます。

自民党の責任者として、行き届かなかった点がありましたことをお詫び申し上げます>

ブログや自身のYouTubeチャンネルでも見解の発信を続けている石破氏。

2019年8月、韓国政府が日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を決めた際には、ブログで「我が国が敗戦後、戦争責任と正面から向き合ってこなかったことが多くの問題の根底にあり、それが今日様々な形で表面化しているように思われます」との持論を展開した

石破氏が会長を務める「水月会」のLINEスタンプ「イシバくん」
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キャンディーズと鉄道オタクの一面も

自他ともに認める「オタク」気質の石破氏。特に、キャンディーズなど1970年代のアイドルや無類のプラモデル好きで知られている。

オタクの一面に加え、若年層に親しみやすさを植え付けたのが、2018年の総裁選の5カ月前に地元・鳥取県であった「フィギュアミュージアム」の開館式典に出席した時の衝撃的なコスプレ姿だ。「ドラゴンボール」に登場する「魔人ブウ」に扮した姿が「はまりすぎ」などとネットで話題を呼んだ。

石破氏は大きな反響があったことについて、ブログで「やや当惑気味 」と述べ、魔人ブウを選んだ経緯を次のように明かした

<「鉄腕アトム」や「サンダーバード」世代である私は「ドラゴンボール」も「魔人ブウ」も全くと言っていいほど知らなかったのですが、皆さんよくご存じなのですね。

当日、開会時間少し前に会場に行ったところ、既に平井鳥取県知事、石田倉吉市長、舞立参議院議員はそれぞれのキャラクターに扮し終わっており、残ったものの中でサイズが合うのが「魔人ブウ」であったという、ただそれだけのお話なのです>

石破氏にとって、総裁選への出馬は2008年、2012年、2018年に続いて4回目。2012年には、総裁に選出された安倍首相の下で党幹事長に起用された。安倍政権では地方創生・国家戦略特別区域担当大臣などを務めたが、2016年8月に大臣を退任している。

地方からの支持が厚い石破氏。安倍首相と一騎討ちとなった2018年の総裁選では、地方票では約45%に当たる181票を得て善戦した

「正直、公正」アピールで安倍氏に対抗

森友・加計学園や検察庁法改正案など、「安倍一強」の長期政権のひずみである数々の問題に対し、異議を唱えてきた。

2018年の総裁選では、森友・加計学園問題で国民の信頼を失う安倍政権の失態を念頭に置くかのように、「正直、公正」をスローガンに掲げた

「森友学園」をめぐる財務省の決裁文書改ざん問題で、自殺した近畿財務局の職員の手記が公表された際、石破氏は東京都内の講演で「政府は、再調査はやらないというなら手記に新しい事実はないと明確にすることが必要だ」と発言。再調査に消極的な政府の姿勢を批判していた

2018年6月には、徳島市内の街頭演説で、森友・加計学園問題に対する安倍首相の対応を念頭に「あったことをなかったかのように言っては駄目だ。逃げてばかりいては駄目だ」「間違っているなら間違っていると、きちんと認める自民党でなければ、国民の支持を得ることはできない」などと訴えた。

自民党総裁選挙を終え、退場する安倍晋三首相(右)に先を譲る石破茂元幹事長=(2018年9月、東京・永田町の同党本部)
自民党総裁選挙を終え、退場する安倍晋三首相(右)に先を譲る石破茂元幹事長=(2018年9月、東京・永田町の同党本部)
時事通信社

検察官の定年を延長する検察庁法改正案を巡っては、5月14日、自身が会長を務める「水月会」の会合で「昭和56年に国家公務員法が改正されたときに『(定年制は)検察官には適用しない』と答弁している。なぜ、変わったのかという説明を受けないと国民に説明できない」などと述べていた

同法案の成立見送りを受け、石破氏はブログに「単なる結論先送りや世論の鎮静化までの時間稼ぎに堕することのないよう、我々の努力と見識が問われています」と記している

総裁選には石破氏のほか、これまでに菅義偉・官房長官、岸田文雄・政調会長が立候補の意向を示している。

【UPDATE】2020/9/1 15:45
野田聖子・元総務相の不出馬の表明を受け、総裁選の候補者名を修正致しました。

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