安倍首相が辞任の意向を示したニュースは世界でも広く報じられている。このうち中国は記者会見の様子を生中継。国営放送の記者は「8年間の執政は記録的で、アベノミクスは一定の変化をもたらした」などと解説した。
■経済復興の過程で...国営放送が解説
安倍首相が辞任の意向を示したというニュースは、国営放送CCTVなどが相次いで報じ、SNS・ウェイボーでも瞬く間にトレンド上位に入った。
このうち、CCTVは記者会見の様子をネットで生中継。途中からは李衛兵記者が辞任までの経緯を説明した。李記者は安倍首相について「最初の検査から1週間後に再び検査に行ったのは、病状が重いからだという情報があった」とし、「今日の会見でも体の調子は悪く見え、以前と違う。非常に疲れているようだ」と話した。
そして、第2次安倍政権については「8年間の執政は日本の政界にとって記録的で、アベノミクスは日本経済に一定の変化をもたらした」としたうえで、「経済的な復興の過程でコロナの感染拡大が起き、日本経済はダメージを受けた。日本はコロナの感染状況が再び悪化していて、安倍首相は打ち勝とうと努力を続けていたが、体調がそれを許さなかった」とまとめた。
■日中関係改善を評価
この中継のコメント欄やSNSでは、中国ネットユーザーの「安倍評」が次々に投稿された。安倍首相の政治姿勢が、中国と対立を深めるアメリカ寄りだと批判する声もある一方で、評価する声も少なくない。
「安倍は優秀なライバルだった。トランプは、アメリカは強力なのに彼自身は大したことはなかった」
「日本人にとっていい首相だっただろう。複数の大国の狭間でバランスを取るのは決して簡単ではなかった」
「歴史問題は置いておくとして、彼は実利的な政治家だった。特に外交では国益のために平身低頭することも厭わなかった。前の何人かの意味のない首相より、彼はずっと良くやった」
日中関係は2010年の尖閣諸島沖の漁船衝突事件や、2012年の尖閣国有化などを契機に悪化したが、その後第2次安倍政権が発足。白紙状態となったものの習近平国家主席の国賓訪日を目指していたこともあり、ここ数年は比較的安定基調にあった。
そのためか「ここ数年は日中関係は20年来で最も良かった」「安倍さんの次は中国に強硬的な人ではないか」とする声も上がっている。