安倍晋三首相は8月28日に記者会見を開き、持病の潰瘍性大腸炎の再発が確認され体調が万全でないとし、「国民の皆様の負託に自信を持って応えられる状態ではなくなった以上、総理大臣の地位にあり続けるべきではないと判断しました」と辞任を表明した。
記者会見で安倍首相は、6月の定期検診で再発の兆候があると指摘され、7月の中頃から体調に異変が生じ「体力を消耗することになった」と説明。8月上旬には再発が確認され、新しい薬の投与をしながらこれまで公務を続けてきたという。
「政治にとって最も重要なことは結果を出すこと」「大切な政治判断を誤ること。結果を出せないことがあってはなりません」と辞意を固めた経緯を説明。
新型コロナウイルス感染症の対応に影響が出ることを避けようと「悩みに悩んだ」というが、「7月以降の感染拡大が減少傾向に転じたこと、冬に向けて実施すべき対応策を取りまとめられたことから、新体制に移行するのであればこのタイミングしかないと判断した」という。
拉致問題を解決できず職を去ることについては「痛恨の極み」と述べるなど、政策課題を残す中での辞任に悔しさもにじませ「次の総理が任命されるまでの間、最後までしっかりと責任を果たしてまいります」とした。
冒頭発言では、後継者について具体的に言及していない。
これまでの経緯は
安倍首相の記者会見は「原爆の日」に広島、長崎両県で行われたものを除けば、6月18日以来。
朝日新聞デジタルによると、安倍首相は8月17日に慶応大学病院で検査のために約7時間半滞在し、24日にも同病院を訪れていた。
28日午前中に行われた菅義偉官房長官の記者会見では、首相の体調について「首相自ら『これからまた仕事に頑張りたい』と言っている。私が毎日お目にかかっているが、お変わりはない様子だ」と健康不安説を否定していたが、午後になって報道各社が「辞任の意向」と報道した。