代理出産は、自分が子どもを引き取って育てる目的で、第三者に出産しでもらう制度だ。
自分で出産できない人たちが子供を持つ選択肢となっている。その反面、産んでもらう相手の健康リスクや親権トラブルの懸念、商業化によって「女性搾取」につながるという批判もある。
日本では認められていない代理出産。世界の国はどう向き合っているのか。代理出産が盛んなウクライナと、脱却を図っているインド。2つの国の対応を紹介する。
「赤ちゃんオンラインストア」に(ウクライナ)
ウクライナでは商業的な代理出産が法的に認められており、大きなビジネス市場となっている。
子ども持つことができない医療上の正当な理由を証明できれば、異性間のカップル(夫婦)を対象に、利用できるという。
BBCによると、費用は平均3万〜5万ドル。代理出産が認められているアメリカや他の国と比べて安価という。
ヨーロッパで代理出産が可能な国が限られている上、費用も安い。ウクライナは、代理出産を望む外国人らの受け皿になっているという。
「ウクライナは世界の赤ちゃんオンラインストアになっている」
肥大する代理出産市場に対して、ウクライナ政府の子どもの人権委員は警鐘を鳴らす。ウクライナ女性の搾取と非難し、禁止するよう求めている。
AFP通信によると、ウクライナの代理出産は、コロナ禍で突如注目をあびることになったという。
ロックダウンなどで国をまたぐ移動が制限され、代理出産で生まれた赤ちゃんを引き取りに行くことができなくなったからだ。迎えを待つ赤ちゃんがベッドに並ぶ様子がネット上にも投稿された。
代理出産ツーリズムからの脱却(インド)
一方で、商業的な代理出産からの脱却を図ったのがインドだ。
元々は2002年に代理出産が合法化されると、市場は急成長し、代理出産ツーリズムのブームが起きるほどだった。
一方で、商業的な代理出産は、貧しく教育を受けいていない女性を富裕層による搾取の危険にさらしていると女性人権活動家らから非難されていた。政府が取り締まりに動き出し、2015年には外国人向けの代理出産を禁止した。
Business Insiderによると、2019年には商業的な代理出産を原則禁止する法案が提出・可決された。代理出産が利用できる対象者や条件を細かく設定し、報酬をなくして、妊娠中の医療・保険にかかる実費のみを支払う形とした。