原作者が強制わいせつ容疑で警視庁に逮捕され、漫画雑誌『週刊少年ジャンプ』での連載が終了した『アクタージュ act―age』の作画担当・宇佐崎しろさんが8月24日にTwitterを更新し、自身の考えと読者に対する「お願い」をつづった。
作品の終了を惜しむ読者に対し、「作品が終了するのは、被害に遭われた方のせいではありません」などと理解を求め、被害者への誹謗中傷などを控えるよう強く呼びかけた。
同漫画をめぐっては、警視庁は8月8日、女子中学生の胸を触ったとして、原作者の松木達哉容疑者を強制わいせつ容疑で逮捕したと発表。
「週刊少年ジャンプ」の編集部は、その後の事実確認や作画担当の宇佐崎しろさんとの話し合いの上で、連載を終了する判断に至った。
宇佐崎しろさんはTwitterで、「まず被害に遭われた方とそのご家族に心よりお見舞い申し上げます。大きなショックと恐怖の中、声を上げ、ご自身の尊厳を傷つけられたことに対する怒りを捨てなかったことは、本当に勇気ある行為だと思います」とした上で「まだ司法の判断は下されていませんが、被害に遭われた方の届出によって事件化され、逮捕・勾留という手続きがとられたという事実を、重く受け止めたいと思います」とつづった。
今回の事件を受けた連載の終了や企画、単行本・グッズ販売などへの対応については「ジャンプ編集部の決定を全面的に受け入れています」と報告。
その理由については「性犯罪によって受けた傷は自然に癒えるものではありません。この先も似た身なりの人とすれ違うたびに身体が強張り、足早になり、夜道を歩くことに恐怖を覚え、被害に遭われた方の人生に本来必要なかったはずの緊張と恐怖をもたらします。『アクタージュ』という作品そのものを見ることによってそれらが誘発されたり、苦痛を与える原因になる可能性を考慮して、作品の終了は妥当だと判断しました」と自身の考えを示した。
続けて、ファンへの「お願い」として、「作品を惜しむ声が被害に遭われた方に対しての重圧となることは、絶対に避けるべきことです」と指摘した上で「当然のことですが、作品が終了するのは被害に遭われた方のせいではありません。被害に遭われた方が声を上げたこと、苦痛を我慢して痴漢行為や性犯罪に対して泣き寝入りしなかったことは決して間違いではありません。正しいことが正しく行われた結果です。その勇気と行動を軽視したり、貶めたり、辱めるような言葉でさらに傷つけることは、あってはならないことだと思います」と、作品終了への感情を今回の事件の被害者に向けないようファンに強く訴えた。
「やりきれない気持ちでいっぱいです」と作画担当としての悔しさを滲ませながらも、「被害に遭われた方の心のケアがしっかりとなされ、今後の人生で二度と同じような思いをすることなく、心穏やかに過ごせることを願っております」と結んでいた。