ぺろりと舌を出した愛嬌たっぷりのキャラクター「ペコちゃん」でお馴染みの不二家。今年で創業110年を迎えた老舗洋菓子メーカーが、新型コロナウイルスの感染拡大や洋菓子の売上不振を背景に「大量閉店」などと報じられたことに、消費者の間に衝撃が走っている。ネットでは「コンビニで十分。閉店は止むを得ない」と厳しい反応もある一方で、思い入れのある洋菓子店の苦境に心を痛める声も広がっている。
「憧れの空間だった」
店舗経営コンサルタントの佐藤昌司氏は8月17日、Yahoo!ニュースに記事を掲載。洋菓子を販売する不二家の店舗数が、2015年末に比べて2020年6月時点で100店以上減っていると指摘している。業績不振の背景に、2000年代に入りローソンなどコンビニ大手でスイーツが人気を獲得し、不二家など洋菓子メーカーにとって「大きな脅威」となったことがある、と解説している。
「おやつに1つ500円近くは払えない…。コンビニに行けば200円以下で美味しいスイーツが手軽に買えるので」
「美味しかったら売れるはず」
Twitterでは厳しい意見もある。一方で、100年以上続く老舗とともに子ども時代を歩んだ消費者や、定番商品への思い入れがあるファンからは悲しむ声も上がる。
「昔は、クリスマスや誕生日といったら不二家のケーキでした」
「悲しみが止まらない。がんばれペコちゃん」
「昭和の子どもたちの憧れの空間だった」
「不二家のショートケーキの味は脳裏に焼きついている」
「大学生で、難波の不二家に初めて行ってケーキを食べた時の感動は忘れられない」...
ファンは「買って応援」
洋菓子の種類の豊富さも不二家の魅力の一つだ。ショートケーキやチョコレートケーキなどの王道のほか、カスタードクリームをふわふわの生地で包んだ「ペコちゃんのほっぺ」なども根強い人気がある。
神奈川県の30代女性は、冒頭の記事を目にして早速近所の不二家に駆け込んだという。女性のお気に入りは、ミルク味のソフトキャンディー「ミルキー」がそのまま大きくなったようなデザインの「ミルキークリームロール」。「真っ白なスポンジに白くて甘いミルキー風味のクリームがたっぷり入っています。3〜4人分の大きさなのですが、可能なら独り占めしたい美味しさ。これだけは他で買えない」と熱く語る。
10年以上前、実家暮らしの頃から「ミルキークリームロール」を食べていたという女性。今も、帰省した際に家族で「食べたいね」と話題に上がることもある。ニュースを聞き、「驚いたのと同時に残念な気持ちになりました。今からでも買って応援したいです」と話す。
美味しくて手ごろな値段のスイーツが、コンビニやスーパーで手に入る。確かに「不二家にこだわらない」派の人もいるだろう。だが不二家にしかないケーキを愛し、幼少期の思い出が詰まった店舗に思い入れのある人たちにとっては、閉店の流れは「ペコちゃんロス」になる可能性もある。
あなたは不二家のケーキにどんな思い出がありますか。