人気アイドルグループ・欅坂46のデビュー曲『サイレントマジョリティー』が、公式YouTubeでの再生回数が1億5千万回を超えた。
ファンなどからは「改めて名曲」などと祝福の声が相次いだ。しかし、ネット上などでは、ファンの中にはこの記録を素直に喜べず複雑な思いを抱く人たちもいる。なぜか。
デビュー曲にして“神曲” 『サイレントマジョリティー』とは?
『サイレントマジョリティー』は、秋元康氏がプロデュースを手がける欅坂46のデビューシングルとして2016年4月6日にリリースされた。
2020年1月に脱退した元メンバーの平手友梨奈さんがセンターポジションを務め、2016年4月度「オリコン月間CDシングルランキング」では推定売上32万4507枚を記録。月間1位を獲得した。
特に人々の共感を集めたのが、その歌詞だ。例えば、以下のようなものがある。
特に、10代や20代といった若い世代から人気が広がった同曲。
「君は君らしく生きて行く自由があるんだ」といった言葉は、多くの若者の心を鼓舞し、「選べることが大事なんだ。人に任せるな。行動しなければNoと伝わらない」(『サイレントマジョリティー』作詞・秋元康、作曲・バグベア)という歌詞は、多くの人に民主主義の重要性や声をあげることの大切さを想起させた。
ファンの中には「デビュー曲にして神曲だった」「私の中でバイブルになっている」などという声も寄せられている。
欅坂46の楽曲は歌詞の中に込められた強いメッセージ性が特徴の一つだ。
「香港国家安全維持法」(国安法)違反の疑いで逮捕され、8月11日に保釈された香港の民主活動家の周庭(アグネス・チョウ)さんも欅坂46の楽曲の歌詞に言及するほどだ。
周さんは釈放後、「今回の逮捕は本当に怖かった。今回の罪も今まで逮捕された4回の中で一番罪が重かった。拘束されているときに、ずっと(欅坂46の)不協和音という日本語の歌の歌詞が頭の中に浮かんでいました。これからも香港人の一人として頑張っていきたいと思います」と語っている。
祝福するファン、心境は複雑...その理由
彼女らのファンならば、この度の欅坂46の記録を素直に祝福したいところだ。しかし、中にはそう出来ない人たちもいるようだ。
なぜなら、欅坂46は4年間の歴史に幕を閉じ、改名して新たに新グループとして生まれ変わることがすでに発表されているからだ。
8月21日の配信のシングル「誰がその鐘を鳴らすのか?」を最後の楽曲として、10月開催予定の「欅坂46ラストライブ」をもって活動を休止する。
改名の明確な理由は公式に明かされていないが、グループをめぐっては近年、全てのシングルでセンターポジションを務めてきた平手友梨奈さんが2020年1月に脱退。
それ以前から、今泉佑唯さん、志田愛佳さん、長濱ねるさん、鈴本 美愉さんや織田奈那さんなど主要メンバーの卒業も相次いでいた。
キャプテンを務める菅井友香さんはブログで、改名について「思い切り活動したい気持ちとは裏腹に、前に進めないもどかしい思いを何度も何度も重ねてきました」とつづり、“再生”という言葉を使っていた。
そんな状況を察してか、ファンなどからは「正直複雑だな」などと、改名という形とはいえグループが生まれ変わることに寂しさを感じる人もいるようだ。
しかし、『サイレントマジョリティー』については「改名しても色褪せることはない」「グループ名が変わっても無かったことにしないでほしい」という声も聞かれる。
グループの形は変われど、“欅坂46”としてのデビュー曲は、多くの人の心に刻まれている。