ただひたすらにパンダを投稿しているだけでもダメなのかー。
ツイッター社が国営メディアや政府高官などのアカウントであることを示すラベルを導入したことに対し、中国メディアが反対の声をあげている。
その例として、パンダの動画を投稿し続けるアカウントが“国営メディア”とされたことを挙げているが、そもそもパンダが外交などに利用されてきた歴史もある。
■パンダ動画で17万フォロワー
ツイッター社は8月6日、国営メディアや政府高官などのアカウントに専用のラベルを表示させた。発表によると、適用されるのは国連の常任理事国(中国、フランス、ロシア、イギリス、アメリカ)のアカウントで、政府高官や、編集過程に国家が介在しているメディアなどが対象になる。
また、トランプ大統領のように、国のリーダーのアカウントは「知名度が高く、広く認識されている」として表示されない。
8月9日時点で、ロシアのスプートニクや中国の新華社通信などに、どの国のメディアかを示すラベルがつけられている。
中国メディアはこの措置に反対の声をあげている。ツイッター社は編集権が独立しているとしてイギリスの公共放送・BBCなどにはラベルを貼っていないが、「ダブルスタンダードだ」などと批判。
さらに、パンダの動画を専門にアップし、17万人のフォロワーを抱える「iPanda」も中国の国営メディアとされたことに疑問を呈している。
この記事は、中国メディア「観察者網」が作成したものだが、共産党機関紙「人民日報」にも転載されている。
■ソフトパワーの象徴か
とはいえ、パンダが中国外交の重要なツールだったことは否めない。
日本との繋がりでは、1972年の日中国交正常化を記念し、上野動物園にやってきたのが「カンカン」と「ランラン」のつがいだった。2頭は空前のパンダブームを巻き起こし、日本人の親中ムードを盛り上げていく。上野では今も「シャンシャン」が大人気だ。
その後、ドイツやロシアなど、中国との友好関係をアピールする節目にパンダがレンタルされることが発表され、中国のこうした手法は「パンダ外交」とも呼ばれる。
また、アメリカでは中国に融和的な考えを持つ政治家などは「パンダ・ハガー(パンダを抱く人)」と称される。「パンダ」は中国のソフト・パワー、つまり文化的魅力などで相手を味方につける力の象徴と見られる一面もあるのだ。
ツイッター社が「国営メディア」としたiPandaは、成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地と中国国営放送・CCTVが運営する。
イギリスのフィナンシャル・タイムズは、中国のパンダを用いたメディア戦略について「世界中の視聴者に対し、中国をソフトで可愛らしく見せる戦略だ」と指摘している。