ペット保険「アニコムホールディングス」は8月3日、新型コロナウイルスに感染した飼い主から預かった犬2匹が、PCR検査で陽性になったと発表した。環境省によると、国内でペットの陽性が確認されるのは初めて。
同社は、新型コロナウイルスに感染した飼い主からペットを預かるサービスを4月から実施。飼い主2世帯から7月下旬に1匹ずつ預かり、それぞれPCR検査を複数回行ったところ、2匹の陽性が判明したという。同社によると、いずれも預かっている間に健康状態に異常はなかった。1匹は再検査ですでに陰性となった。同社は2匹を隔離して単頭飼育をしているという。
同社はこれまでに犬、猫、ウサギ計42のペットを預かり、全てに複数回のPCR検査を実施し、陰性を確認していた。
■ペットへの感染、注意点は?
人からペットには感染するのか?
厚労省のウェブサイトによると、新型コロナウイルスに感染した人から犬、猫に感染したと考えられる事例はこれまでに複数報告されている。
一方、同省は「新型コロナウイルスは、主に発症した人から人への飛沫、接触により感染することが分かっており、現時点では人から動物への感染事例はわずかな数に限られている」と説明。犬と猫が感染した場合、それぞれの症状については「犬は明確な症状が確認されていないが、猫は呼吸器症状・消化器症状があったとの報告がある」としている。
■ペットから人へは感染する?
感染したペットから、人に感染することはあるのか?
厚労省はウェブサイトで、「これまでのところ、新型コロナウイルスがペットから人に感染した事例は報告されていない」としている。一方で、猫は新型コロナウイルスの感受性が他の動物よりも高いことや、猫から猫への感染の可能性がある、という実験結果も報告されているという。
同サイトによると、オランダのミンク農場でミンクが大量に感染した事例では、新型コロナウイルスに感染したミンクから人へ感染した可能性のある事例が報告されているという。
こうしたことから、厚労省は「動物との過度な接触は控える」「動物に接触する前後で、手洗いや消毒を行うようにして」と感染防止対策を呼びかけている。
■ペットの感染、防ぐには
ペットの感染対策には、まず飼い主自身が感染しないことが重要だ。
東京都獣医師会はウェブサイトで、犬の散歩や運動について「人や犬が多数集まる公園に連れて行くことは避ける」「人や犬が集まるドッグランの利用はできるだけ控えて」と呼びかけている。飼い主が感染した場合は、ペットとの接触を避けるため、家族や信頼できる人などに預けることを推奨している。
都獣医師会は、新型コロナウイルスに感染した飼い主からペットを預かる際の注意点をまとめたガイドラインを公開している。