「お盆の移動自粛」はGoToと矛盾する?「帰省、制限の必要ある」と専門家

お盆の移動制限を巡り、西村康稔経済再生担当大臣が記者会見で「分科会で検討する」と発言。ネット上では「GoToキャンペーンと矛盾している」「観光と帰省はリスクの大きさが違う」などと様々な意見が上がる。専門家はどう見ているのか?
新型コロナウイルス感染症対策分科会を終え、記者会見する西村康稔経済再生担当相=7月31日午後、東京都千代田区
新型コロナウイルス感染症対策分科会を終え、記者会見する西村康稔経済再生担当相=7月31日午後、東京都千代田区
時事通信社

新型コロナウイルスの感染拡大が各地に広がる中、お盆や夏休みのシーズンに突入した。西村康稔経済再生担当大臣は、8月1日の記者会見で、お盆の移動制限について「次回の(新型コロナウイルス感染症対策)分科会で検討する」と発言。ネット上では「GoToキャンペーンと矛盾して支離滅裂」「観光と帰省はリスクの大きさが違う」と様々な意見が上がる。お盆は移動自粛するべき?感染症の専門家に聞いた。

■「足元の感染状況を見ながら」

西村氏は記者会見で、お盆時期の移動制限について「(7月31日の)分科会では、大きな議論はされなかったが、問題提起がなされた」報告。「8月に入って、帰省される方(もいて)、お盆休みを控えているので、次回の分科会では当然、足元の感染状況を見ながら、そうしたことのご意見をいただくことになる」と述べた。

政府は緊急事態宣言の解除後、県をまたぐ移動の自粛を段階的に緩和。6月19日からは全国を対象に解除している。7月22日には、観光需要の喚起策「GoToトラベル」キャンペーンがスタート。東京都発着の旅行や都民はサービスの対象外として始めたが、感染拡大は東京だけでなく大阪、愛知、福岡、沖縄など各地に広がっている。

■矛盾?それとも合理的? 

西村氏の発言に対し、SNSでは様々な反応が上がる。

「お盆で移動制限するなら、GoToキャンペーンと真っ向から矛盾する」

「支離滅裂にも程がある」

といった否定的な反応がある一方で、

「観光旅行と、重症化や死亡のリスクが高い高齢者と濃厚接触しかねないお盆帰省では、リスクが大きく違うのでは。観光は推奨しつつ、帰省の自粛を求めることは両立し得る」

「旅行なら誰とも濃厚接触しないことも可能。帰省先では長時間話したり、実家に泊まったりするから感染リスクはより高い」 

として、帰省に限って自粛を要請することに理解を示すツイートもある。

■お盆帰省は「自粛の呼びかけを」

コロナ禍のお盆時期の帰省を、専門家はどう見ているのか?

関西医科大の西山利正教授(公衆衛生学、輸入感染症学)は、「帰省先では、重症化しやすい高齢者と長時間を一緒に過ごし、マスクを外して食事や宴会をすることもある。政府は、お盆時期の帰省の自粛を呼びかけることが必要ではないか」と述べる。「オンラインを利用し、互いに顔を見ることはできる。遠隔で話すことが一番安全です」と、対面以外の手段の利用を推奨している。

一方で、観光旅行については「マスクの着用、大声を出さないことや三密の回避、手洗いといった感染防止策を徹底すれば、旅行先で感染する・させるリスクは高くない」と指摘。「GoToトラベル事業の見直しや中止よりも、旅先での感染対策の徹底をより強く呼びかける方が現実的だ」と話した。 

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