「日本家屋の文化財に素足で入らないで」と博物館が呼びかけ。一体なぜ?

担当者は「靴下の持参を。文化財を大切にしながら楽しんでいただきたい」と控えめに話した。
皮脂汚れなどがくすんだように残った北方文化博物館内の伊藤邸【大広間棟】の縁側
皮脂汚れなどがくすんだように残った北方文化博物館内の伊藤邸【大広間棟】の縁側
北方文化博物館提供

「お願いです。日本家屋等文化財の建物に入る際は《素足での入館はご遠慮下さい》」

こう訴える新潟市にある北方文化博物館のツイートが話題になっている。添えられた写真を見ると、いくつもくすんだような汚れが。素足にサンダルで出かけることが増える時期だが、「『皮脂汚れ』が床につくと完全には落ちません」というのだ。

そうだったのか…!しかしなぜ今このツイートを?ハフポスト日本版は、担当者に話を聞いた。

【拡散希望】お願いです。日本家屋等文化財の建物に入る際は《素足での入館はご遠慮下さい》。夏はサンダルで外出する機会が増えますが「皮脂汚れ」が床につくと完全には落ちません。お子様ご友人にもお伝えいただき、どうか文化財を汚さないという意識のもとご見学いただきたくお願い申し上げます。 pic.twitter.com/qfFngkGjd6

— 北方文化博物館 (@hoppo_bunka) August 1, 2020

 北方文化博物館は、越後の大地主伊藤家の旧大邸宅を保存・公開している施設。「伊藤家住宅主屋」などは国の登録有形文化財にもなっている。 

担当者によると、投稿された写真が撮られたのは8月1日の朝。文化財に指定されており、「一番の見どころ」でもある伊藤邸【大広間棟】の縁側に、いつも以上に目立つ皮脂汚れがついていたため記録したという。

北方文化博物館がTwitterで公開した、皮脂汚れなどが目立つ建物内の写真
北方文化博物館がTwitterで公開した、皮脂汚れなどが目立つ建物内の写真
北方文化博物館提供

 担当者は「これまでも皮脂汚れがつくことはありましたが、今朝は目に余る状況でした」と振り返る。熱湯につけた雑巾をよく絞って拭くなどして目立たなくはなったものの、完全には落とせないという。「水拭きも(床の材質にとっては)良いことではないので難しいところです」と苦慮している。この日特に汚れが酷かった理由は分かっていない。

施設によっては「素足では入場できない」と公式サイトなどで呼びかけるところもあるが、北方文化博物館では来館者のマナーに任せてきたという。しかし、「素足でサンダルを履く方が増えている一方で、日本家屋などの文化財には素足で入らないというマナーは忘れられている状況もあるのかなと思っておりました」とし、呼びかけのツイートを行った。

大きな反響があったが、「これはお客様だけの問題ではないと思っております。私どもも、スリッパを用意したり事前に呼びかけたり、できることはあるかもしれないと、戒めを含め考える機会になりました」と冷静に受け止める。

その上で、「サンダルでお越しになる場合は、ぜひ靴下などをご持参ください。私どもの博物館だけでなく、様々な文化財を大切にしながら楽しんでいただきたいです」と話していた。

注目記事