職員への夏の一時金(ボーナス)の支払いを見送っていた東京女子医科大学病院が一転して、支給する方向で検討することになった。
病院の開設者である東京女子医科大学が7月17日夜、教職員向けの通知文書をハフポスト日本版に送ったことで明らかになった。大学の広報担当者は「誤った認識を持つ一部の本学教職員がいた」と説明している。
「資金調達が可能に」
7月17日付けの通知文書によると、もともと何らかの手当を8月をめどに支給できないか検討していたという。その後、福祉医療機構から資金調達が可能になったことを受けて、29日に予定している理事会で、夏のボーナスを「支給する方向での審議」をすると通知している。
また、一部の教職員から施設整備に回す資金を賞与の支給に充てるべきだという批判があり、その中には、「彌生記念教育棟」に新たに6億円かけて理事長室を設置することを非難する内容もあったという。
このことについては、移転するのは本部事務部門と理事室であり、各建物の老朽化が激しいために、建設計画を止めるわけにはいかないと説明している。
退職の意向「意思確認を明確に行ったわけではない」
同病院をめぐっては、都内の系列病院も含め、全体の2割程度に当たる400人規模の看護師が退職の意向を示していることも報道されていた。
この件については把握していないとし、次年度の募集人員を決める上で、毎年看護師長などの現場管理者が退職見込みの予測値を立てている中で出た人数であり、「意思確認を明確に行ったわけではない」としている。
これまでの経緯は?
ハフポスト日本版に送られてきた6月12日付の教職員向けの文書によると、例年はボーナスは6月に支給していたが、「新型コロナウイルスに起因する未曾有の収支悪化」を理由に、2020年は支給を見送っていた。
その際に「上半期賞与の支給はできませんが、新型コロナウイルス感染症対応に当たられている医療従事者の皆様には、これまでの激務に感謝すべく8月を目途に何かしらの手当の支給を考えています」としていた。あわせて増収策またはコスト削減案を中心に業務改善案の提出も求めていた。
複数の報道機関で、ボーナスの支給がなく、また看護師の退職の恐れがあると報じられると、7月16日、東京女子医科大学労働組合は、「単に『夏期一時金ゼロ』が理由で退職を希望しているのではない」「大学理事会の『教職員を大事にしない姿勢』に失望し、働き続けていく展望を見いだせなくなったことが原因」などとする見解を公開していた。