新宿での劇場クラスター、これまでの経緯は?対策についての認識、食い違いも【新型コロナ】

濃厚接触者は約850人、感染者は60人以上。他の公演が中止されるなど、影響は広がっている。
出演者からも17人の感染者が出ている
出演者からも17人の感染者が出ている
『THE★JINRO-イケメン人狼アイドルは誰だ!!-』公式サイトより

東京都新宿区の劇場で発生した新型コロナウイルス感染症のクラスターの波紋が広がっている。感染対策について主催者側と劇場が加盟する小劇場協会で認識が異なる部分もあり、今後の小劇場運営に影響をもたらすことは必至だ。

どういった対策がとられていたのか?どのように認識が食い違っているのか?

これまでの経緯をまとめた。

■どこで行われた、どんな公演だった?

クラスターが発生したのは、6月30日から7月5日に劇場「新宿シアターモリエール」で上演された『THE★JINRO-イケメン人狼アイドルは誰だ!!-』。

「ライズコミュニケーション」が主催し、企画プロデュースを映画コメンテーター有村昆さんが担当。公式サイトには、俳優の山本裕典さんなど、ゲストを含め25人がキャストとして掲載されている。

推理ゲーム「人狼」をベースにしており、「イケメンアイドルたちが歌って踊る」「毎回違う物語が楽しめる」などと紹介している。

■感染者は?

山本裕典さん(ワイツー公式サイトより)
山本裕典さん(ワイツー公式サイトより)
ワイツー公式サイトより

ライズコミュニケーションの発表などによると、千秋楽翌日の7月6日、出演していたボーカルグループ「Super Break Dawn」のTAKUYAさんの感染が判明。その後の検査で、山本裕典さん、有村昆さんらも陽性反応が出たことが分かった。

その後全観客とスタッフ、計およそ850人が濃厚接触者に指定された。

全12公演全ての観客から陽性者が出てており、7月15日までに出演者、スタッフ、観覧者合わせて計59人の感染が判明。その後も神奈川や千葉、長野などからの観客の感染が複数判明している。

■ハグする演出があった?ガイドライン守らず?主催者は否定

公演をめぐっては、一部報道で体調不良の出演者がいながら上演を強行した疑いがあるとされた。

ライズコミュニケーションは7月12日の発表で、全国公立文化施設協会などが定めるガイドラインに沿って公演を行ったと反論。検温や消毒、マスクの着用を徹底したほか、休憩時間の換気、楽屋を3か所に分けるなどの感染防止に努めていたとしている。

しかし7月14日、新宿シアターモリエールも加盟する小劇場協議会が、同協議会のガイドラインに従った感染防止策について徹底・遵守されていなかったことが判明したと発表。食い違いが明らかになった。

さらに同日、西村康稔経済再生担当相が記者会見で「終わった後にアンケートを取るということで、観客と非常に近い距離にいて、握手をしたりハグをしたりということもあったと聞いている」と発言した。

こうした指摘についても、ライズコミュニケーションは7月15日の発表で否定。

「一部報道では、『舞台関係者によると、演者が客席に降りてハグをする演出が あった』と報道されております。しかしながら、そのような事実は一切ございません」とした。

■影響は他の公演にも

新宿シアターモリエール
新宿シアターモリエール
時事通信社

観客全員が濃厚接触者とされたことを受け、東京・中目黒ウッディシアターで上演を予定していた舞台『SUNFLOWER』は開幕当日の7月14日に公演中止を発表。出演者の中にJINROを観劇した俳優がいたためという。

また、新宿シアターモリエールで7月20日に開催予定で、お笑い芸人のナイツらが出演予定だった『Maseki Geinin Collection 2020夏』も、クラスター発生を受けて中止に。

そのほか、JINROに出演していた俳優が舞台を降板するなど、影響は広がっている。

■退院の感染した出演者「注意足りなかった」

千秋楽翌日の7月6日に新型コロナウイルス感染が判明したTAKUYAさんは7月15日に退院。翌日、公式サイトに「感染予防には特に気をつけて舞台にのぞんだつもりでしたが、こんな結果になってしまい、僕の注意も足りなかったと反省しています」などとコメントを発表した。

千秋楽翌日に倦怠感を感じて検温したところ38度の発熱があり、かかりつけ医に相談。発熱外来のある病院を紹介されてPCR検査を受けて感染が判明したという。「再開を目指してがんばっているエンタメ界の皆さんへも大変ご迷惑をおかけいたしました」とも述べた。

ハフポスト日本版はライズコミュニケーションに対し、感染防止策や最新の感染者数について問い合わせている。

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