「重症患者の受け入れに支障、非常に警戒」 東京都の会議で専門家が警鐘【新型コロナ】

若年層の入院患者が増加傾向にある東京都。モニタリング会議で、専門家から「軽症者が増え続ければ、重症患者の収容に苦慮する事態に」と指摘した。
7月15日に開かれた東京都新型コロナウイルスのモニタリング会議(公式サイトから)
7月15日に開かれた東京都新型コロナウイルスのモニタリング会議(公式サイトから)
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新型コロナウイルスの感染者数が増加傾向にある中、東京都が7月15日に開いた感染症のモニタリング会議で、専門家は「軽症者が増え続ければ、重症患者の収容に苦慮する事態に」と指摘した。

■重症患者の収容に苦慮の恐れ

会議では、感染状況と医療提供体制の2本柱で新型コロナウイルスのモニタリング項目の分析結果が報告された。杏林大の山口芳裕教授は、重症患者数について「横ばいで推移している一方、重症化するリスクの高い年齢層に患者発生が広がり、非常に警戒している」と危機感を募らせた。

山口氏は新型コロナ感染者の入院患者数が「先週に比べて約2倍に増加している」と報告。入院患者のうち、若年の軽症者が多いことについて「医療機関にとっては軽症でも重症でも、患者にかかる手間は同じ。若い患者が病床を次々に埋めることで、結果的により重症度の高い患者者さんの収容に苦慮する事態を非常に心配している。このまま入院患者が増えると、より重症な患者の受け入れそのものに支障をきたす事態が危惧される」と述べた。

■自宅療養、根本的な戦略を

前回のモニタリング会議の際に、専門家のメンバーから「入院ベッド数は3000床の確保が必要」との指摘があった。山口氏は、実際には東京都の提供可能数が現時点で約1500床にとどまっていることを指摘し、「現場の努力で、(医療現場が)破綻しないようなんとか留めているのが実情」と述べた。

「本来であればより厳しい状況だと申したい」と前置きした上で、医療提供体制のモニタリングの評価としては、先週と同じで3番目に当たる「医療提供体制の強化が必要」に据え置いた。

感染者数が膨らむ中、病床数の確保が困難になる恐れがあることから、自宅療養の対策についても提言があった。

山口氏は「これまで患者に対して原則入院を促していたが、軽症者や症状がない人が多い中で、宿泊療養、あるいは自宅で療養していただくことを余儀なくされる事態が想像される。より安全に自宅で療養していただくためにどういう施策が必要か、根本的な戦略を考え直す必要がある」として、都に対応を促した。

都は会議で、陽性患者を収容するため、新たに2つの宿泊療養施設を開設することを明らかにした。

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