予算1兆6794億円が投じられる「Go To キャンペーン」に、厳しい目が向けられている。
政府は7月22日からキャンペーンの一環として旅行代金の一部を補助する「Go To トラベル」を開始予定だが、東京都の新型コロナウイルス感染症の新規感染者数は連日100人超え。Twitterでは「#GoToキャンペーンを中止してください」がトレンド入りし、地方自治体からも相次いで懸念の声が上がっている。
開始を前倒ししたが、東京の感染者数は100人超え続く
「Go To キャンペーン」は官民一体で消費喚起を行う事業。経済的な打撃を受けている観光業・旅行業のほか、運輸業、飲食業、イベント・エンターテインメント業などを対象に実施される。
このうち、国内旅行にかかった代金の半額相当を補助する「Go To トラベル」が7月22日に開始される。朝日新聞デジタルによると、もともと8月上旬の開始を予定していたが、赤羽一嘉国土交通相が7月10日、前倒しして7月22日から開始すると表明した。
しかし東京都の新規感染者数は、7月9日から4日連続で200人超え。13日は119人だった。小池百合子都知事は9日の記者会見で「感染者数の増加は検査数が増えていることも影響している」と述べたが、不安感は広がっている。
地方自治体は懸念「感染拡大すれば人災」
青森県むつ市の宮下宗一郎市長は7月13日の記者会見で、キャンペーンにより新規感染者が増えている地域から観光客が来ることに危機感を示し、「キャンペーンによって感染が拡大すれば、人災だということになる」と指摘。
「命があって健康であれば、経済を回す方法はいくらでもある」「国や県がどういうキャンペーンをやろうが、むつ市は市民を守る責務がある」とし、状況によっては市の観光関連施設などを再び閉鎖することも検討するとした。
全国知事会は、「Go To トラベル」について観光業が苦境に陥っていることから「地方としても大きな期待をしている」としつつも、「拡大要因となることだけは避けなければいけない」として、近隣地域の誘客から始めるなど慎重な実施を求める緊急提言を出している。
「なぜ今?」「コロナ対策や豪雨被害の復興に回すべき」
7月14日、「#GoToキャンペーンを中止してください」がTwitterの「日本のトレンド」入り。このまま自粛が続けば「観光業を完璧に潰しかねない」という投稿もあるが、「この予算はコロナ対策や熊本豪雨被害の復興に回すべき」「なぜ今こんなキャンペーンをするのか理解出来ません」など、反対する声が多く上がっている。
新型コロナウイルス感染症の影響で経営が悪化、医療従事者の待遇が悪化している病院もあることから「#GoToキャンペーンより先に医療従事者への経済的支援を」とのハッシュタグも広がっている。