新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた消費喚起策として、政府は7月22日から、旅行代金の割引などを盛り込んだ「Go Toキャンペーン」を始める。しかし、東京を中心に全国の感染者数が増加する中、旅行需要を喚起するキャンペーンを実施することに対して、さらなる感染拡大を懸念する声が上がっている。
宿泊代金を値引き、「Go Toキャンペーン」とは?
観光庁によると、「Go Toキャンペーン」は「新型コロナウイルスの影響を受けた地域における需要喚起と地域の再活性化を目指す」もの。官民一体で消費喚起を行う事業で、国が民間業者に委託して実施される。
令和2年度補正予算で1兆6794億円が投じられている同キャンペーンは、経済的な打撃を受ける観光業・旅行業のほか、運輸業、飲食業、イベント・エンターテインメント業などを対象に実施される。
7月22日から始まるのは、このうち、宿泊代金など国内旅行の料金を割引するキャンペーンだ。
旅行代金の35%分を割引するという内容で、宿泊を伴う旅行の場合、1人1泊当たり1万4000円、日帰りの場合は1人当たり7000円が上限となる。
東京都は県をまたぐ移動の自粛を呼びかけているのに... 困惑の声
しかし、新型コロナウイルスの感染者数が増加傾向にある中、国内移動を促す取り組みには疑問の声が上がっている。
そもそも、東京都の小池百合子都知事は、東京都での新たな感染者数が増加していることをふまえ、県をまたぐ不要不急の移動を控えるよう都民に呼びかけている。
一方で、西村康稔経済再生担当大臣や菅義偉官房長官が7月7日の記者会見で移動の自粛は求めない考えを示し、政府と小池都知事との説明には食い違いが生じていていた。
こうした状況に、ネット上では、「結局どちらがいいのか」「不信感が募る」などと困惑の声が広がっていた。
その最中でのキャンペーン推進に、さらなる疑念が高まっている状態だ。
「注意をしながら進めていかなければなりません」
AbemaTVによると、西村大臣は7月12日の会見で、キャンペーンについて「感染が広がっていることについては注意をしながら進めていかなければなりません」と説明。また、九州を中心に、豪雨による大きな被害が出ていることにふれ、「被災された方々への配慮も十分頭に置きながら進めていかなければならない」とした。
一方で、「感染防止策と経済、社会活動を両立する段階であります」とも説明し、キャンペーンを予定通り始める意向を明らかにしている。「感染防止策を徹底していただくことで経済社会活動との両立を計っていけます」として、検温や消毒、ソーシャルディスタンスの確保などの感染防止策の徹底を呼びかけた。
また、「体調に違和感がある人、倦怠感がある人などは外出を控えてほしいし、県をまたぐ移動は控えていただきたい」とも強調した。