透き通った水色の、風船のような物体。
砂浜に落ちていたら「きれい!何だろう?」と触りたくなるが、実はこれ、「電気クラゲ」の異名を持つ毒のあるクラゲ「カツオノエボシ」。7月に入り、神奈川県内の砂浜に漂着しているのが見つかった。
ことしは新型コロナウイルス感染拡大の影響で同県内の海水浴場は開設されず、救護所の設置もない。清掃活動などをしている「公益財団法人かながわ海岸美化財団」が触らないよう注意を呼びかけている。
神奈川県の公式サイトなどによると、カツオノエボシは全長10センチ程度で、触手に強い毒を持つ。刺されると電気ショックを受けたような痛みがあり、二度目に刺されるとアナフィラキシーショックを起こして死に至ることもある。死んでいるものでも危険だという。
刺された場合は、皮膚に刺さった触手に直接触らないよう棒などで剥がし、医療機関で診察を受けるよう勧めている。
同財団によると、夏場になって南風が吹くと沖合から吹き寄せられてくる。担当者は「色が綺麗なので触ってしまう方もいる」と話す。
海水浴場の開設中止で救護所もなし
注意したいのは、この夏の海には救護所がないということだ。
神奈川県によると、例年は海水浴場の開設とともに、救護所や管理事務所、トイレやシャワーなどを整備。クラゲに刺された場合などの応急処置にも応じていたという。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、ことしは県内すべての海水浴場が開設中止に。鎌倉や藤沢など、人出が予想される海岸にはライフセーバーを配置しているが、例年に比べると大幅に少ない体制という。
十分な安全対策が確保できないため、県は遊泳を控えるよう呼びかけているが、同財団によると、晴れると海岸には多くの人が集まっている。梅雨が明けるとさらに人出は増えるとみられる。
県は「ライフセーバーは命に関わる事故への対応を優先することになり、その他の応急処置までは手が回らない可能性がある」としている。
同財団のTwitter投稿には、「(刺されて)親指2倍に腫れた」という経験者からの悲痛な声や、「子供は喜んで触りそう」などと心配する声が寄せられている。救護所がないこの夏は、例年以上に注意をはらった方がいいだろう。