「黒人に脅されている」などと警察に虚偽の通報をしたとして、ニューヨーク・マンハッタンの検察当局が白人女性を起訴した事件。偽の通報をされた被害者の男性が、「これ以上の処罰を望まない」と現地メディアに語ったコメントに、反響が広がっている。
■発端は「犬のリード」
BBCなどによると、被告の白人女性は5月25日、飼い犬を連れてセントラルパークを散歩していたところを、黒人男性に声をかけられた。
男性は「このエリアでは常に犬をリードでつないでおかないといけません。すぐそこにサインがあるでしょう」と伝えたが、女性は拒否。女性が犬を連れて歩いていたエリアは、「常に犬をリードにつないでおかなければならない」との規定があった。
女性は「黒人の男が、私と犬を脅している」「男に脅されているからすぐに警察を出動させてください」などと通報した。男性は、女性の様子を動画で撮影していた。CNNによると、男性が動画をFacebookに載せると、ネットで拡散。女性の行為が人種差別的だとして批判が上がった。女性は勤務先の金融会社から、人種差別を理由に解雇されたという。
■これ以上の処罰は望まない
男性は現地メディアに対し、虚偽の通報をした女性が起訴されることを望まないことと、検察当局に協力しないことを明らかにした。
「彼女はすでに高い代償を払いました。それは他人を抑止するのに十分ではないでしょうか?彼女にさらなる悲惨さをもたらすことは、追い討ちをかけることのように思います」
男性は5月にもCNNのインタビューに応じ、「(女性に対する)殺人の脅迫もあったと聞いている。それは完全に不適切で悪辣なことで、すぐにやめるべきだ」と訴えていた。
虚偽通報があったこの事件と同じ日には、アメリカ・ミネソタ州で黒人のジョージ・フロイドさんが、白人警察官に首を圧迫されて死亡する事件が起こっている。