東京ディズニーランドのスプラッシュ・マウンテンの題材変更「現時点ではないが検討中」。運営会社がコメント

アメリカのテーマパークでは、題材が映画『プリンセスと魔法のキス』に変更されることになったスプラッシュ・マウンテン。一体なぜ、変更に至ったのかについても経緯を振り返る。

アメリカのウォルト・ディズニーは6月25日、カリフォルニア州とフロリダ州のテーマパークの人気アトラクション『スプラッシュ・マウンテン』の題材を、黒人の少女が主人公の映画『プリンセスと魔法のキス』に変更すると発表した

一方、日本の東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドは26日、同アトラクションに関するハフポストの取材に対し「現時点でのアップデートはない。現在アメリカのディズニー社と検討中」と回答した。

大人気アトラクションの題材変更、なぜ?

日本のみならず海外のパークでも人気の「スプラッシュ・マウンテン」。

そもそもアメリカではなぜ、題材が変更されることになったのか。

アメリカのニューヨーク・タイムズによると、同アトラクションは1946年に公開されたディズニー映画『南部の唄』をモデルとして作られた

しかし、映画公開当時は黒人への差別が特に著しく、劇中の“白人と黒人が交流する”という描写に対して「現実と乖離している」「誤った歴史認識だ」などという批判が寄せられていた。

全米黒人地位向上協会(NAACP)は、一部の黒人の描き方をめぐってディズニーに抗議。その後、ディズニー側が規制したという経緯があり、1986年以降、同映画がアメリカで再び公開されることはなかった。

スプラッシュ・マウンテンの変化を求める声の多くは、黒人男性のジョージ・フロイドさんが白人警官に首を押さえつけられて死亡した事件をきっかけに世界各地に広がった抗議活動「Black Lives Matter(黒人の命は大切だ)」のうねりを受けたものだ。

Twitterでは、「黒人の描写が問題で“お蔵入り”になったのに、なぜ現実のアトラクションとして存在しているのか」「アトラクションが映画をベースに作られたのなら、作品が配信されていないという事実を受け止めて、改善しなければならないのでは」などという意見も寄せられていた。

ウォルト・ディズニーの元CEOで、現在は会長を務めるボブ・アイガー氏は、『南部の唄』について「今日の世界においては(作品は)適切ではない」述べている

1946年に公開された映画『南部の唄』
1946年に公開された映画『南部の唄』
Getty Images

東京ディズニーランドのスプラッシュマウンテン、対応を「検討中」

同アトラクションのアメリカのテーマパークでの題材変更を受け、ハフポスト日本版は東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドを取材した。

広報担当者は「現時点でのアップデートはない。現在アメリカのディズニー社と検討中です」と回答した。

東京ディズニーランドのスプラッシュマウンテン
東京ディズニーランドのスプラッシュマウンテン
東京ディズニーリゾート公式

ウォルト・ディズニーの発表によると、スプラッシュ・マウンテンの新たな題材となるのは、映画『プリンセスと魔法のキス』。同作は、ディズニー史上で初めて黒人の“プリンセス”を主人公にした作品だ。

アトラクションでは、映画での“最後のキス”のその先の物語を描くことになるという。

ウォルト・ディズニーの広報責任者のマイケル・ラミレス氏は声明で、題材の変更について「(テーマパークでは)長い歴史の中で、幾度となくアトラクションのアップデートを行い、新たな魔法を追加してきましたが、スプラッシュマウンテンのテーマ改変は今日において非常に重要なことだと考えています」との考えを示した上で、「新たなコンセプトは、毎年来園してくださる多くの人々の多様性に訴えかけるようなものになる」とコメントしている。

アメリカのテーマパークで『スプラッシュ・マウンテン』の新たな題材となる映画『プリンセスと魔法のキス』の予告編は、こちら

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